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視点の行方

広告費と印刷マーケット

印刷ジャーナル 2008年4月5日

 2月に(株)電通が発表した「日本の広告費」によると、2007年(1~12月)の日本の総広告費は7兆0,191億円、前年比101.1%と4年連続の増加となっている。
 総広告費は、2000年にITブームを背景に3年ぶりに増加したあと減少が続いたが、2004年に日本経済の景気回復基調とデジタル家電やブロードバンドの普及を背景に4年ぶりに増加し、2005年、2006年に続いて2007年も前年実績を上回った。
 媒体別にみると、「新聞広告費」(前年比94.8%)が大きく減少し、「テレビ広告費」(同99.1%)も減少して、「マスコミ4媒体広告費」(同97.4%)は3年連続で前年を下回った。マスコミ広告以外では、「プロモーションメディア広告費」(同101.9%)が4年連続の増加となった他、BSデジタル放送などの増加で「衛星メディア関連広告費」(同110.8%)が引き続き伸び、「インターネット広告費」(同124.4%)は検索連動広告、モバイル広告を中心に拡大を続けた。
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 最も印刷業界に関連するプロモーションメディア広告費は、2兆7,886億円で、前年比101.9%。4年続けて前年を上回った。
 内訳では、今回、初めて推定した「フリーペーパー・フリーマガジン」が伸びは鈍化してきたものの、マガジンタイプの創刊が相次ぎ、ターゲットも幅広い層に拡大して高い伸びを示した(3,684億円、前年比109.7%)のをはじめ、東京モーターショーの開催が寄与した「展示・映像他」、今回推定して加えた民間メール便が牽引している「DM」が好調である。
 DMは4,537億円、前年比103.1%。統一地方選、参議院選挙、携帯電話キャリアの競争激化、日本郵政公社の民営化、団塊世代の大量退職の始まりなどを背景にDM需要は堅調で、民間宅配業のサービス拡大に伴うメール便の利用増加により、DMの郵便料・配達料は前年実績を上回った。また、「配達地域指定郵便」(タウンメール)も拡大している。
 大口差出しのDMは全体として横ばい(封書が微減、ハガキが微増)で、普通通常郵便も微増にとどまった。封書の減少は、ハガキや冊子小包・メール便など郵送コストの低い形態への移行の影響が考えられる。個人情報保護法施行により、リスト使用による大量差出しからターゲットを絞った小規模な展開に移る傾向や、チラシなどの各戸郵便受けへの投入(ポスティング)の増加などの影響も挙げられる。
 一方、折込広告は6,549億円、前年比98.3%と5年ぶりに減少。地域を問わず全国的に下降傾向である。要因としてはパチンコの規制強化に伴う出稿減、国内販売の伸びない自動車ディーラーの減少などが挙げられる。また、スーパー、GMSなどの小売業は都市部では堅調だったが、ローカルでは大手のグループ化・チェーン化・M&Aなどにより淘汰される中小流通が増え、減少傾向となった。