PJweb news

印刷産業のトレンドを捉える印刷業界専門紙【印刷ジャーナル】のニュース配信サイト:PJ web news|印刷時報株式会社

トップ > 視点の行方 > 印刷業界と安全管理
視点の行方

印刷業界と安全管理

印刷ジャーナル 2008年2月25日

 平成19年の労働災害者は8,641人。労働者死傷病報告によると、労働災害は長期的には減少傾向にあるという。現在の数が多いか少ないかはともかく、平成11年の9,529人と比較すると、労働災害は1,000件近く減少している。労働局によると、平成19年度の印刷関連機器による労働災害の報告件数は368人(平成20年1月末現在)発生している。
 3K職場という言葉が使われていた頃と比べると、昨今の労働環境は大きく変化している。企業の労働安全衛生面の取組みや職場環境のクリーン化、人材を大切にする企業姿勢、機械の技術革新による安全面の充実など、一昔前とは比較できないほど従業員にとっての労働環境は恵まれたものになった。
 しかし一方、安全管理など労働環境の改善が未だ不十分な企業があることも否めない。確かに労働災害は全体的には減少傾向にある。しかし労働災害を引き起こす企業は2回、3回と繰り返す傾向があるという。その場だけの反省ではなく、事故を起こさないための組織的なルールを作る必要があるだろう。また、災害が発生してから対策を講ずるのでなく、災害が発生する潜在的なリスクをあらかじめ排除するよう心掛け、安全管理を見直す必要がある。「慣れ」による安心こそが大きな災害を招きかねない。
 労働者死傷病報告によると、労働災害のなかの死亡災害は、平成19年は平成18年の101人を9人下回る92人に減少している。しかし、その中でも製造業によるはさまれ、まきこまれによる死亡事故は、建設業の転落や陸上貨物運送業の交通事故と並んで高い割合を占めている。印刷業界も、ひとつ間違えれば大事故を引き起こす危険性を改めて認識し、日々の安全管理に努めなければならない。
 これらの労働災害の背景には、ベテラン労働者の定年退職などによる安全確保に必要な知識・技能レベルの低下や、危険に対する感受性の低下によるものが大きい。ベテラン労働者は後進を指導するにあたり、技術の伝達と同時に、その危険さをしっかりと認識させる必要がある。
 労働災害の発生確率を分析した「ハインリッヒの法則」というものがある。これは、1件の重大災害の裏には、29件のかすり傷程度の軽災害があり、さらにその裏にはたまたま災害に繋がらなかったが、ヒヤリ、ハットさせられる300件の体験が隠れているというものである。
 ヒヤリやハットの要因には、見落とし、判断ミス、操作ミス、作業場の状態など、組織的な仕組みの改善により未然に防げるものが多い。「間一髪」の幸運がいつも続くとは限らない。事故の潜在的なリスクを排除するには、どんな些細な問題でも報告させる組織としてのルール作りに加えて、それを報告しやすい職場環境作りも必要である。
 「ハインリッヒの法則」によると、労働災害の中で予防可能なものは全体の98%を占めるという。つまり、安全管理をしっかりと行なうことで、ほとんどの事故は未然に防げるのである。
 印刷業界は今、環境対応やMUDなど、様々な方法で企業イメージ、業界イメージの向上を目指している。ここで改めて安全管理について見直し、労働災害ゼロの業界を実現することも、業界イメージ向上には欠かせない重要な要素である。