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躍進企業REPORT

片岡紙工:コルブス表紙貼り機のオプション搭載機を導入

印刷ジャーナル 2017年10月15日
オプション搭載機として導入した表紙貼り機「DA260」
最大7ピース、変形サイズの表紙貼りも行える
オリジナルのアルバムや手帳のピッキングから出荷作業までを行う

最大7ピースの全自動表紙貼りが可能〜生産性向上と省コスト化実現

 東急ハンズを中心とした大手小売店の紙製品を製造する(株)片岡紙工(本社/愛媛県四国中央市中之庄町106、片岡誠治社長)は今年9月、毎分40枚の表紙貼りが可能なドイツ・コルブス社の表紙貼り機「DA260」の四国1号機をオプション搭載機として導入し、表紙貼り工程の内製化率を大幅に高めるとともに、さらなる納期短縮と生産性の向上、省コスト化を実現した。同機は最大7ピースの全自動表紙貼りが可能となっているほか、特殊サイズの表紙貼りも可能なため、同社では全国からの表紙貼りの受注を開始するとともに、新たな表紙貼り関連商品の開発にも乗り出していく考えだ。

新たな表紙貼り関連商品の開発を目指す

 同社は創業90年の歴史を誇る老舗の紙工会社。同社が本社を構える四国中央市は、日本一の「紙のまち」として知られており、一般紙や家庭紙・紙おむつを主力とする大手製紙製造メーカーが中心となるが、それに加えて、文具系の紙製品を加工・製造する会社が多数存在する生産拠点となっている。そして、商品が完成するまでの各工程は分業化されているため、片岡社長は「四国中央市は二次加工企業が多いため、モノを作るのには恵まれた環境となっている」と話す。

 しかし、数ある四国の紙工会社の中でも「表紙貼り」が可能な企業は古くから同社のみであったようだ。同社では、コルブス社の表紙貼り機「DA260」を導入する以前から国産メーカーの表紙貼り機を保有しており、今回が2台目の表紙貼り機の導入となるが、片岡社長は「当社はもともと色紙や芳名録の生産を生業としていた。色紙は芯材に対して表と裏に紙を貼り合わせ、断裁してからフチを巻いて作るもので、当社は昔から何かに何かを貼り合わせることを得意としていた歴史がある」と、長年にわたり表紙貼りのような工程が得意であったことに自信を示す。

 そして現在、同社はその技術を生かし、東急ハンズなどで販売されているオリジナルブランドのアルバムや手帳をはじめとした紙製品を生産しており、販路のメインとしている。また、別会社として文房具ブランドの「LACONIC」を手掛ける(株)LACONIC(本社/東京都世田谷区)を約11年前から立ち上げており、片岡社長は「今では東京の売上が90%を占めている。四国はモノを作る環境には恵まれているがメーカーが少ない。このため、当社の販路は東京のメーカーのOEMやオリジナルブランドが中心となっている」と話す。同社は今後も四国中央市で生産加工を行い、東京で販路を拡大するスタイルで事業を拡大していく方針だ。

国産表紙貼り機の2倍となる毎分40枚の表紙貼りが可能

 同社では従来から国産メーカーの表紙貼り機を保有しているが、それだけでは生産性、性能の面でも対応できない仕事も数多くあったため、これまでは多くの表紙貼りの仕事をコルブス社の表紙貼り機「DA260」を保有する大阪の企業に外注していた。

 そんな同社が今回、「DA260」を内製化した理由について、片岡社長は「社内設備として保有することで、生産性向上や納期短縮、コスト面でのメリットが出るのはもちろんであるが、お客様にとっては『自社でやっているか』ということがそれ以上に大きく、それが受注にも影響すると考えている。このため、当社では社内加工高を高めていくことを目標としており、とくにこれからも注力していく表紙貼りについては、これまで外注していた企業も持っていないオプション搭載機として導入した」と話し、その性能に自信を示している。

 「DA260」は毎分40枚の表紙貼りが可能で、その生産性は国産の表紙貼り機の約2倍。生産性の高さが最大の武器となっているが、特筆すべきはオプション搭載機として導入した同社の「DA260」は、最大7ピースまでの表紙貼り、そして変則サイズの表紙貼りも全自動で表紙貼りできることだ。

 片岡社長は「表紙貼りを手貼りで行う場合、1時間に200枚〜300枚しかできない。しかし当社の『DA260』では最大7ピース、変則も全自動で表紙貼りできるため、1時間に2,400枚の表紙貼りを行うことができる。自動化により省力化を図れるため、手貼りと比べると圧倒的に低コストで仕事を受けることができるため、これを武器に、今後は全国から表紙貼りの下請け受注を開始する。また、この機能を生かして新たな表紙貼り関連の商品も開発していきたい」と、オプション搭載機による受注拡大と新商品開発の可能性にも期待する。

 また、操作性と品質についても高く評価しており、「基本的にタッチパネルとゲージを回していくだけで、あとの動作はすべて機械制御ができているので品質のブレが少ない」と片岡社長。糊タンクもコンピューター制御されており、水分量や濃度などもIT化が反映されており、熟練工でなくても操作が可能であるという。

 今後の目標について片岡社長は、「オプション搭載の『DA260』により競争力を高め、納経帳のような四国ならではの複雑な表紙貼りの仕事を取り込んでいくとともに、高級なお菓子や食品パッケージの表紙加工など、新たなジャンルにも挑戦していきたい」と話す。また、これによる新たな表紙貼り関連商品の開発にも乗り出していくという同社の今後の取り組みに注目したい。