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躍進企業REPORT

新日本印刷 GOOD SPEED瑞浪工場:環境負荷低減への取り組みを加速

印刷ジャーナル 2017年10月15日
GOOD SPEED 瑞浪工場の玄関前で横田工場長
環境に配慮したソーラー発電システムを導入する工場外観
LITHRONE G40(H-UV搭載・5色+コーター)
KBDバリューシーター1400
SYSTEM38S

シートカッター「KBDバリューシーター1400」導入

 新日本印刷(株)(本社/名古屋市天白区、細井俊男社長)は、カタログやパンフレットなどをメインとする商業印刷の会社として事業を拡大してきた。また、近年では情報加工技術を活かしてWEBや動画などのコンテンツ制作にも力を入れている。一方、同社は高い意識で環境負荷低減に取り組んでおり、2005年に始動したGOOD SPEED瑞浪工場(岐阜県瑞浪市山田町)は2009年に日本印刷産業連合会の環境優良工場 会長賞を受賞。昨年3月にはこれまで破棄していた巻取紙の端紙の無駄を省くことを目的に、シートカッター「KBD Value Sheeter(バリューシーター)1400」を導入し、環境負荷低減への取り組みを加速させた。今年6月に創立50周年を迎え、さらなる躍進を目指す同社の執行役員・瑞浪工場長の横田守彦氏にお話を伺った。

 同社は1967年6月、商業印刷専門の会社として創業した。現在は企画・デザイン、撮影、製版、印刷、製本、発送までを一貫生産できる設備を整えるほか、本社の近くには名古屋でも最大級となる240坪の写真スタジオを所有し、日々大量の撮影をこなしている。昨今では動画の撮影や360度コンテンツの制作などデジタルコンテンツを生み出す現場としても活躍しているという。

 また、同社の主要設備を集約し、2005年に始動したGOOD SPEED瑞浪工場は、A横全判両面輪転機とB縦半裁両面輪転機の2台の輪転機と製本ラインが稼働する「GS1」、2台のハイブリッドUVオフセット枚葉印刷機が稼働している「GS2」の2棟で構成されており、敷地面積は3,000坪。生産設備の集約化による効率化に加えて、高速生産が可能なオフ輪と高性能なH-UV機により、高品質・高付加価値な印刷物を生み出すことが可能になっている。

 また、環境に配慮したソーラー発電システムを導入するなど、環境負荷低減に高い意識で取り組む同工場は、2009年に日本印刷産業連合会の環境優良工場 会長賞を受賞している。同工場ではソーラー発電システムのほか、製本工程の三方断裁後のゴミを圧縮して少量化し、再生利用するためのダストシューター、蛍光灯にはLEDを採用するなど、環境に配慮した様々な設備が備わっている。このほか、同社では日本印刷産業連合会のGP工場認定、VEGETABLE OIL INKの採用、CSR認定制度のツースター認定にも環境配慮の項目を入れるなど、環境負荷低減に向けた様々な取り組みを実施している。

 そして同社では、さらなる環境負荷低減を実現させるため、昨年3月にはオフ輪の巻取紙の端紙を平判にカッティングする「KBDバリューシーター1400」を導入。環境負荷低減への取り組みをさらに加速させた。この導入の経緯について、横田工場長は「これまでは巻取紙の端紙は破棄していたが、紙の無駄を何とかできないかと弊社の経営陣も常々考えていたという。そのような中、KBDバリューシーター1400の存在を知り、端紙を有効活用できるのであればと導入を決めた」と話す。

 「巻取紙の端紙を破棄せずに有効活用できるようになったことは、当社の環境負荷軽減に向けた取り組みを大きく前進させることができたと考えている」(横田工場長)

多能工化への挑戦で人材も有効活用

 同社では近年、「多能工化」により人の無駄をなくし、人材を有効活用していく取り組みに挑戦している。印刷のオペレーターが製本の鞍乗せや仕分け、梱包をする。またその逆に製本のオペレーターが印刷の紙積みを行う場合もある。取材時には、事務系の男性社員が慣れた手つきで黙々と紙積み作業をしていた。

 そして、多能工化による人材の有効活用は正社員だけでなく、パート社員にも及んでいる。例えば、KBDバリューシーターにしても、主に操作しているのは、用紙の倉庫納入を担当していた女性のパート社員1名である。また、前述の男性社員などが担当の仕事の合間に操作しているという。

 「倉庫納入だけでは時間を持て余してしまうことも多く、これまでは人材を有効活用できていなかった。操作も簡単なため、新たな人を雇うこともなく設備投資することができた。全社員が多能工化してやれることを増やすことで、生産効率の向上と利益創出に結び付けていきたい」(横田工場長)

          ◇            ◇

 同工場の「GOOD SPEED」とは、旅人などを送り出すときに使う英語の「GOD SPEED(成功を祈る)」を印刷会社らしくもじったもの。今年6月に創立50周年を迎えた同社は、さらなる成功を目指し、クライアント、協力会社、仕入れ会社とも「Win-Win」の関係を築きながら、創立60年、70年企業へと着実に前進していくという。

 100年企業を目指す同社の今後の取り組みに注目したい。