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躍進企業REPORT

光写真印刷:スターティアラボ AR制作サービス「COCOAR」導入

印刷ジャーナル 2016年6月15日
東 部長
山崎 係長
阿部 氏
矢野 氏

 印刷物は後生に残る大切な「宝」--。光写真印刷(株)(本社/東京都大田区下丸子2-24-26、惟村唯博代表取締役社長)は、プロの印刷会社として、この企業理念を大切にしながらも「町の印刷屋」のイメージを払拭し、21世紀の印刷会社へ変革するための様々な取り組みを展開している。その1つが2014年に導入したスターティアラボ(株)のAR制作サービス「COCOAR(ココアル)」によるARへの展開だ。主にイベントの集客手段として提案し、クライアント満足度を高めている。

サンプル作成して営業展開〜イベントの集客手段として提案

 同社は1947年に複写業として創業。1958年から軽印刷業に着手し、1967年には菊全判オフセット印刷機を導入して大型化を開始。現在は分業の多い東京において、制作から印刷、製本までの設備を取り揃え、一貫生産により差別化を図っている。
 また、数多くの認証を取得していることも同社の特長として挙げられる。2007年にFSC(CoC)認証を取得したことを皮切りに、現在までに環境印刷クリオネゴールド+登録、グリーンプリンティング工場認定、JapanColor認証制度プルーフ運用認証・標準印刷認証、プライバシーマークなどの様々な認証を取得し、顧客の信頼を築いている。
 そんな同社がARに取り組んだきっかけについて、東貴志取締役制作生産部部長は「印刷業界はいまだに名刺やチラシを印刷しているだけというイメージを持たれている一面がある。そのような『町の印刷屋』のイメージを払拭していかなければならない。そのための取り組みの1つとして、『COCOAR』によるAR制作サービスへの展開を開始した」と説明する。同社では「紙への印刷だけでなく、何でもできる印刷会社」を目指した取り組みを進めており、新たなツールの1つとしてARを選択したという。導入にあたっては、他のAR制作サービスとも比較検討したが、最終的には、手軽に取り組める価格的なところで「COCOAR」に決めたようだ。
 同社ではこれまで、従来のARのイメージを払拭し、さらに価格的にも手軽に取り組めるARとして、多数のクライアントに「COCOAR」を提案して採用されている。同社ではどのように「COCOAR」のメリットを提案しているのか。
 制作部メディアグループの矢野秀人氏は、「ARの魅力を口答だけで伝えることは難しい。このため、当社では自社でARのサンプルを作り、それをクライアントに見せながら提案することで、スムーズな営業活動を展開している」と説明する。これにより、初めてのクライアントでも、その場で見積りまで話が進んだケースもあるようだ。また、制作部の阿部学歩氏は「導入時の『COCOAR』から『COCOAR2』にバージョンアップしたことで、クライアントに提案できる幅が広がった。新たな機能を活用しながら、ARのイメージを変える様々な提案を行っていきたい」と話しており、さらなる機能向上にも期待する。
 同社の「COCOAR」による初の受注は、バスケットボールチームのカード。そのチームでは、開幕のホームゲームにおいて選手カードを観客に配布し、そのカードに動画を乗せれば面白いのではないかという提案が採用されたという。
 「バスケットボールチームでは、試合前の選手紹介時にスクリーンで動画を流していたが、それをホーム開幕戦に配布したカードにARにより自分のスマホやタブレットで観られるという試みは観客にも好評だったようだ。将来的には、選手ごとに違った動画を乗せるなどの提案も考えていきたい」(山崎仁総務部係長)
 また、仕事体験イベントの紹介カードにARにより動画を乗せるという提案が採用された。
 「このイベントでは、数種類のブースがあり、ブースに行くと、そのカードをもらうことができる。当初は、そのカードにQRコードを印刷し、QRコードから動画に飛ばす予定だったが、それをARに変更するという提案はQRコードより画像認識での判りやすさで喜んでもらうことができた」(山崎仁総務部係長)
 さらに、地域ブランド登録企業に認定されている同社では、地域企業が進めるプロジェクトに使用するバッチやカードなどのグッズにもARにより動画を乗せることを提案し、採用された。スマホやタブレットをかざすと、写真からアクセスして動画が流れ出す。
 「当社では、イベントの集客手段として『COCOAR』を提案している。今後も様々なイベントに合わせて『COCOAR』を提案していきたい。『COCOAR』は、クライアントの隠れた悩みを引き出してもらうという意味で良い武器になっている。当社はこの時代の印刷会社として、立ち位置の見直しができていると自負しているが、今後も情報を解析しながら21世紀の印刷会社のあり方を探り、クライアントに良い提案ができる印刷会社を目指していきたい」(東貴志取締役制作生産部長)