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躍進企業REPORT

石田大成社:コンセプトは「グローバル・クロスメディア・カンパニー」

印刷ジャーナル 2016年4月25日
阿部 社長
京都本社
創業時の京都本社
1月に竣工した多治見オフィス
石田大成社100年

創業100周年を迎える
未来志向の情報サービス業へ

 千年の都、京都の地において産声をあげた(株)石田大成社(本社/京都市中京区丸太町通小川西入)は5月5日、創業100周年を迎える。高付加価値情報サービス業として、顧客が持つ情報を最適なカタチにデザインし、それを最適なメディアで発信する"インフォメーションデザイン"を得意とする同社は、今回の100周年を機に「グローバル・クロスメディア・カンパニー」をコンセプトに掲げ、未来志向のグローバルな情報サービス業として事業展開を加速させている。印刷業から高付加価値情報サービス業への変革を遂げ、さらに5年後、10年後を見据えて海外でのジョイントベンチャー・事業投資など次なる事業展開に乗り出している同社の7代目・阿部乙彦社長に話を聞いた。

「インフォメーションデザイン」のプロに

 同社は1916年5月5日、現在の京都本社の地において活版印刷業として創業した。1929年9月に株式会社に改組し、初代社長に石田嘉十郎氏が就任。7代目となる現在の阿部乙彦社長は、2010年9月から社長に就任している。
 「常に時代の先駆者であり続けることを目指してきた」(阿部社長)という同社は、大丸、松坂屋やトヨタ自動車など世界に名だたる企業との取引が初代社長の時代から続いており、そのため、紙の印刷だけでなく、インターネットなどを使用し、印刷業から高付加価値情報サービス業への変革を早々と実現してきた。そして現在は、顧客のセールスプロモーション活動やドキュメンテーション業務の効率的、効果的な推進をサポート。スマートフォン、タブレット端末、デジタルサイネージなどのマルチデバイスを戦略的に組み合わせた最適なソリューションをカタチにして提供している。
 「顧客と一緒になって困りごとをサポートするトータルサービスを心掛けている。その中で様々なコンテンツ制作や電子媒体などを提案しているが、紙メディアの売上はすでに2割まで減少している。情報を伝えるメディアが変化する中、ITを基軸にIoTやウェアラブル端末、テレマティクスなど、新たな潮流への先行投資を行いながら新しいメディアでの情報発信をグローバルに展開できるトップ企業を目指していく」(阿部社長)

国内8都市、海外15都市に拠点を展開

 そして今、同社の活躍のフィールドは世界規模に発展している。海外15都市に拠点を構えることにより、顧客のグローバル化に対応し、海外でのビジネスをスピーディーかつ高いクオリティーでサポートしている。また日本においては、北海道から九州まで、全国8都市に営業ネットワークを構築。各地で特徴ある創造的な営業活動を展開している。
 印刷業を核に、時代とともに変化する顧客ニーズに応えながら着実に成長し、創業100年を迎えた今、同社は数々の大手企業をはじめ、幅広いクライアントから厚い信頼を築いており、情報コミュニケーションを核とした先進領域へ事業展開を加速させている。
 そんな同社が目指すのは「インフォメーションデザイン」のプロフェッショナルである。これは、顧客が持っている多彩な情報をユーザー目線の分かりやすく使いやすいコンテンツに再構築し、提供する総合情報サービスのことである。
 「当社は顧客の商品情報や技術情報を分かりやすく、正しくユーザーに伝えるという役割を担っている。当社では、そのような領域を『インフォメーションデザイン』という言葉で捉えており、顧客情報をグローバルに発信していきたいと考えている」(阿部社長)

3つの経営キーワードで様々な事業をグローバルに展開

 同社は、経営キーワードとして「Humanity」(個人相互の尊重と信頼関係をビジネスの基本にすえ、地球環境と社会への責任を全うし調和ある未来を目指す)、「Originality」(発想の原点を顧客におくコミュニケーションの専門家。1人ひとりの個性を活かした集団として、独創性あるサービスを提供する)、「Technology」(創意と工夫で時代を拓く、革新型のビジネスを志向する。専門知識と技術の開発、そして応用により、絶えざるサービスの高度化を推進する)の3つを掲げ、様々な事業をグローバルに展開している。
 次に、各事業の内容を紹介する。
(1)印刷
 全社共通管理により高品質化を徹底。さらにデジタル印刷や高精細オフセット印刷など、最新鋭の戦略的な設備で差別化したソリューションを提供している。
(2)グラフィックデザイン
 発想力や表現力、メッセージ性などの総合力で新しい価値を創造している。
(3)CG制作
 製品の構造や機能説明ムービー、建築物のイメージ映像まで、クオリティーの高いコンテンツを幅広く制作している。
(4)WEBサイト構築
 コンテンツはもちろん、WEBサービスの企画、開発、運用までをトータルに提案している。
(5)デジタルサイネージ
 ハードはもちろん、コンテンツまで、企画、開発、設置、運用のすべてをワンストップでトータルプロデュースし、高い導入効果を提供している。
(6)トヨタ自動車をはじめとした大手メーカー製品の取扱説明書など各分野の専門スタッフが迅速的に、かつ効果的に対応している。
(7)多言語翻訳
 世界の各拠点を軸に翻訳ネットワークを構築し、60ヵ国以上の言語に対応。また、ITを駆使した翻訳システムを導入している。
(8)インバウンド事業
 海外の拠点と連携し、現地の情報や文化に根差したプロモーションを提案している。
(9)イベントプロモーション
 各種イベント、展示会の企画から運営までを一貫体制でプロデュースしている。
(10)セールスプロモーション
 購買行動へ直結する効果的なプロモーションを様々なメディアに合わせ、最適な表現方法で提案している。
(11)広報メディアプランニング
 企業や学校、官公庁などの各種広報物をプランニングからコーディネート。編集のプロ集団が高いクオリティーを追求している。
(12)各種教育支援
 企業向けの技術教育支援や社員研修支援を、教材作成から運用までトータルサポート。ITを活用し、早期育成や教育効果アップに貢献している。

100周年記念プロジェクトを実施

 同社では創業100周年を記念し、様々なプロジェクトを計画している。5月9日の東京開催を皮切りに、国内4地区(東京・名古屋・福岡・京都)、海外4地区(バンコク・北京・ブリュッセル・ロサンゼルス)において記念式典を開催し、全社員がいずれかの会場に参加する予定となっている。
 記念式典では、社長挨拶、社史ダイジェスト版の映像放映、永年勤続表彰が行われ、パーティーでは、全社員の顔写真で作成したモザイクアートの紹介やアトラクションが予定されている。モザイクアートでは、顔写真をクリックすると100周年に向けた社員の抱負が表示されるなどの工夫が凝らされているようだ。
 また、100周年記念事業の一貫として、昨年12月には総事業費6億5,000万円をかけ、「多治見新オフィス」を竣工した。新オフィスは4階建て、延2,000平米の面積を誇る。トヨタ自動車向け編集、制作、翻訳スタッフ約120人が業務に従事している。

今後も時代の変革に対応できる企業に

 印刷業から高付加価値情報サービス業へ変革を遂げた同社であるが、同社はさらに加速する時代の変革の波に乗り遅れることのないよう、3年後、5年後、10年後を見据えた次なる事業展開に乗り出しているようだ。
 「業界の垣根がなくなり、競争相手も変わってくる中、力を付けていかなければ、これからの競争に勝ち残っていくことはできない。IoT事業にとくに力を入れながら、海外でのジョイントベンチャー・事業投資に力を入れていく。現在、海外の売上は全体の2割だが、3年後には3割の売上を目指したい」(阿部社長)
 創業100周年の佳節を迎え、関係各位に深く感謝しながら、海外展開をさらに加速させていくという同社。「グローバル・クロスメディア・カンパニー」を目指していく同社の世界規模での活躍に注目したい。