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躍進企業REPORT

栄進堂印刷:小ロットチラシ専門印刷通販サイト「特急印刷」開設

印刷ジャーナル 2015年12月5日
西藤 社長
http://tokkyuprint.com
B3オフ輪3台、B2オフ輪1台を設備する大津市の滋賀工場

B3チラシを当日発送 〜 B3二つ折り、B4四ページにも対応

 「特急印刷」(http://tokkyuprint.com)は、B3・B2の小ロットチラシに特化した印刷通販サイト。運営会社の栄進堂印刷(株)(本社/京都市南区、西藤栄祉社長)は、24時間稼働の滋賀工場(大津市)にB3オフ輪3台、B2オフ輪1台を設備しており、平均2万数千枚のロットを1日に80〜100以上こなしている。しかし生産キャパにはまだまだ余裕があるようで、西藤社長は「1日のジョブのうち、半分くらいは中1日の余裕はある受注。このため、『特急印刷』から入った超短納期の受注を優先的に印刷することは十分に可能」としており、全国の印刷会社からの外注先としての活用に期待している。

10〜15分でジョブを切り替えてすぐに印刷

 「特急印刷」は、オフ輪チラシ印刷の100%下請けとして実績を積んできた栄進堂印刷が今年4月に開設した印刷通販サイト。同社は昭和28年の創業から60年以上の歴史を誇るオフ輪工場で、印刷通販サイトとしては後発であっても長年にわたる技術とノウハウは折り紙つきだ。オフ輪B判チラシを毎月1,000件以上受注していることも、その信頼の証と言えるだろう。現在、「チラシ印刷のスーパーマン」をキャッチフレーズに通販サイトの知名度向上に取り組んでいる。
 同サイトの最大の強みは、滋賀工場にB3オフ輪3台を保有していることだ。これによりB3チラシの午前入稿、午後発送などの当日発送に対応するとともに、B3二つ折り、B4四ページにも対応する。さらに同社は長年にわたり「小ロットチラシ」に特化してきたことにより、「ジョブの切り替え時間」を短くするノウハウを身に付けてきた。これにより、現在は10分〜15分でのジョブの切り替えが可能になっているという。
 これについて取締役営業部長の真鍋弘史氏は、「当社では1日あたり80〜100ものジョブをこなすため、切り替え時間の短縮は当社にとって永久の課題といっても過言ではない。長年にわたり機械のセッティングや水回りの調整などをいかに早く切り替えるかを追求してきた結果、現在は15分あればカラーものであっても切り替えを行えるようになった。ものによっては10分で切り替えることも可能になった」と話す。今後も切り替え時間を短縮させる取り組みを続け、将来的には「5分」での切り替えを目指していくようだ。
 また、同社は小ロットの受注が専門であるため、オフ輪が稼働中であってもすぐに印刷を終えることができ、「特急」の受注が入ればすぐに切り替え作業を行い、次の印刷に取りかかることができる。印刷通販で一般的に行われている「付け合わせ」を行う必要もなく、発注された印刷物だけをすぐに印刷することができるため、これが超短納期の受注にも対応できる秘訣となっている。さらに、発注された印刷物だけに合わせた色補正となるため、印刷の仕上がり品質についても、抜群の綺麗さとなっているようだ。
 小ロットを専門とする理由について西藤社長は、「当社では何百万枚など大ロットの仕事は基本的に受けていない。大ロットの仕事を受けてしまうとその間に他の仕事を挟めなくなり、すぐに印刷して欲しいという印刷会社の要求に応えられなくなるからである。当社は下請けのオフ輪工場として、あくまでも困っている印刷会社のお役に立っていきたい」と話し、とく繁忙期の外注先として活用して欲しいと呼び掛けている。

安心の校正チェック体制と品質管理

 「特急印刷」は、制作会社から入稿されたデータとクライアントからの校了データをオンデマンド印刷機で出力し、ペンチェックですり合わせすることで、印刷データとして問題ないかをチェックするだけでなく、日付など内容に関する校正までを行い、ユーザーに安心感を与える校正チェック体制を整えている。
 クリエイティブ課の上嶋潤一郎氏は、「第3の目でチェックすることにより意外とミスが見つかることも多い。また、昨今は数多くの入稿ファイル形式があり、PDFしか受けられないという訳にはいかない。このため、RIP後のチェックも必ず必要」だと話す。
 また、栄進堂印刷では過去に品質マネジメントシステム「ISO9001」を取得していた経験がある。現在は、更新はしていないが、当時の品質管理体制は現在も継続して現場に生かされているようだ。
 「特急印刷」を立ち上げた経緯について西藤社長は、「当社はB判チラシを専門とするオフ輪の下請け工場として、京都・大阪を中心に印刷会社をサポートしてきた。当社の生産キャパにはまだまだ余裕があり、印刷通販サイトを活用すれば全国にあるさらにたくさんの印刷会社に活用していただけると考えた」と話す。
 今後、同社は自社と取引先だけでなく、その先のチラシ発注者も含めた3者が喜べる仕事を目指し、コスト、企画、仕事の流れなど、取引先の困りごとを解決できる印刷会社、印刷通販サイトを目指していく。年末の繁忙期に向け、広告などを活用しながら、さらなる知名度向上に取り組んでいく方針だ。