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躍進企業REPORT

共進ペイパー&パッケージ:厚紙対応「JetPress720S」国内1号機を関東工場に導入

印刷ジャーナル 2015年10月5日
鍛治川 取締役
千葉市花見川区の関東工場に導入した厚紙対応国内1号機の「JetPress720S」
紙箱・貼箱の小ロット通販サービス「ハコプレ」

 (株)共進ペイパー&パッケージ(本社/神戸市、鍛治川清司社長)は9月下旬、国内1号機となる厚紙対応の「JetPress720S」を千葉市花見川区の関東工場に導入した。同社はこれにより、B2サイズまでのパッケージの展開図をデジタル印刷機で行うことが可能になり、関東工場の鍛治川和広取締役は、「サイズだけで言えば受注の90%をデジタル印刷でカバーできるようになった」と今回のJetPress720Sの導入による商売の広がりに大きな期待を寄せる。生産性と品質も飛躍的に向上し、現在、より美しいパッケージを効率的に生産するための様々な検証を進めている。

B2サイズのデジタル印刷対応を実現〜より美しいパッケージの生産を追求

 「Jet Press 720S」は、IGAS2015でも富士フイルムグローバルグラフィックシステムズ(株)ブースに展示されて注目を集めた次世代インクジェットデジタル印刷機。シングルパス方式、1,200dpiの高解像度でB2サイズ(最大用紙サイズ750×532ミリ)の高速印刷に対応する。また、独自のプレコンディショナー処理により、水性インクジェットでありながら、一般的な印刷本紙に対応。厚紙オプションにより、最大0.6ミリの板紙にも対応する。同社が今回、関東工場に導入したのは、この厚紙対応の国内1号機となる。
 同社は約2年半前、紙箱・貼箱の小ロット通販サービス「ハコプレ」(https://www.hacoplay.jp)による小ロットパッケージ受注を目的に、初めてのデジタル印刷機として「iGen4」を関東工場に導入。そして今年1月には、同工場に2台目のデジタル印刷機として「Versant2100Press」を導入している。
 しかし、これら2台のデジタル印刷機はB2サイズの大きさに対応していないため、「WEBでB2サイズの印刷物を受注した際、小ロットであっても自動的にオフセット印刷機の金額を表示する。このため、価格的にユーザーのニーズを満たせていないと感じていた」と鍛治川取締役は話す。同社では「ハコプレ」の開始から3年目となる来春頃を目安にB2サイズデジタル印刷機の導入を検討していたようだが、「ハコプレの事業が想像以上に好調に推移していることに加え、これから出てくる機種もJetPressやIndigo、TruePressなどと比べて大きくブレークスルーするような品質や技術はないと判断した。それなら早めに導入したほうが市場にもインパクトを与えられると思い、予定よりも早い今年9月の導入を決定した」(同氏)。
 そして同社では、この3機種をメインに比較検討した結果、「JetPress720S」が同社にとって最高の機種であると判断し、導入を決定したという。

オフセットと同じ搬送機構に安心感

 厚紙は薄紙と比べ、紙のクセなど、紙が厚いことによるトラブルが多い。とくに搬送系に不安を抱くユーザーもいるが、鍛治川取締役は「JetPress720Sは搬送経路にオフセットと同じ機構を使用しているため、搬送部の安心感があった」とJetPress720Sを選択した理由について話す。
 また、同社のWEBによる受注は500〜1,000個ほどがロットの中心のため、2面付けだと1ジョブあたり250〜500通しとなる。「B2サイズの他製品と比較した結果、WEBによる受注のロット数とJetPress720Sとの相性が良さそうだったことも選択のポイントとなった」と鍛治川氏。さらにランニングコストについても、iGen4の印字比率で計算すると、トータルコストで他の製品と同等かそれ以下であると判断し、品質・生産性・コストのすべてを比較検討した結果、そのすべてにおいて、JetPress720Sに軍配が上がったようだ。

ほぼすべてのパッケージをデジタル印刷機で生産可能に

 同社ではこれまで、デジタル印刷機(iGen4)でカバーできていたパッケージの作成率がサイズでいうと50%弱であったという。それが今回の「JetPress720S」の導入により90%までカバーできるようになった。
 鍛治川取締役は「今回の導入により、サイズはもちろん、小ロットから大ロットまでのパッケージの展開図をよりハイクオリティに生産できるようになった」と話しており、これによる新規受注の拡大など商売の広がりにも期待する。また、関東工場・チームリーダーの伊藤健氏は「より美しいパッケージを効率的に生産するための様々な検証を進めている」と、現場ではさらなる品質向上と生産性、効率化を追求していくようだ。
 また、同社では「JetPress720S」の導入に合わせ、ハコプレの機能を大幅に向上させたが(本紙既報)、その結果、アクセス数は30%増加し、さらに引き合いや受注も増加するなど早々と効果が出ているという。同社では現在、「ハコプレ」の他、「世界にひとつの箱」、「Popplay(ポップレ)」などのサービスを展開しているが、鍛治川取締役は「WEBによる通販はいかにして小ロットの受注を集めていくかが重要になる。このため、当社は今後も色々な形で受注を集めるサービスを展開していきたい」と今後について話している。この次は年末を目標に新たなサービスを展開する予定だ。