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躍進企業REPORT

セントラルプロフィックス:ルキオからスイス製UVインクジェットプリンタを導入

印刷ジャーナル 2015年4月25日
オフセット印刷と遜色ない比較サンプルに自信を見せる田畠社長
swissQprint impala2の前で 右から田畠社長、栗原部長、オペレーターの中島氏
本社外観

オフセット印刷との近似性が高まる〜「テカリ」の問題を解決

 (株)セントラルプロフィックス(本社/東京都中央区、田畠義之社長)は今春、ハイエンドモデルのスイス製UVフラットベッドインクジェットプリンタ「swissQprint impala2」アジア・オセアニア地区1号機を(株)ルキオ(本社/東京都世田谷区、古谷庄悟社長)より導入した。同社はこれにより、ラフグロス系の印刷用紙にポスターなどを出力した際の「テカリ」の問題を解決し、オフセット印刷との近似性を高めるとともに、生産性も従来のUVインクジェットプリンタと比べ3〜4倍に向上するなど、クオリティと生産性の双方で導入効果を発揮している。

生産性も3〜4倍に向上

 同社は1950年に写真製版の専業者として創業。以来、顧客である印刷会社のニーズに対応しながら業容を拡大し、現在は企画、デザインから画像処理、写真製版、DTP、平台校正、本機校正、印刷のすべてにおいて高水準なクオリティを確立している。また、近年ではサインディスプレイ事業を主体とした「D-Art事業部」を設立するなど、経営の多角化にも意欲的に取り組んでいる。

 そんな同社が初めて大判のインクジェットプリンタを導入したのは約15年前。小ロットのB倍・B全ポスターの需要に対応するため、水性インクジェットプリンタを導入。その後、紙メディアだけではなく、サインディスプレイ系のメディアにも出力する需要の拡大を見越してUVインクジェットプリンタも初導入した。

 これが同社の紙メディア以外へのインクジェット事業のきっかけとなり、現在は素材を選ばずに印刷できる大判のUVインクジェットプリント、大判の彫刻機、カッティングプロッターなどの活用により、彫刻を施した3D看板や複雑にカットアウトしたディスプレイなど、画期的な「立体彫刻+高精細印刷」を中心とした幅広いソリューションを提案する「D-Art事業部」として成長している。

 その一方、同社ではUVおよび水性インクジェットプリンタを活用してB全/B倍などの交通系ポスターの受注を拡大してきた。現在は1ヵ月に1,000枚近くをコンスタントに出力しているという。

 同社はこれまで、ロットや紙種に応じて、オフセット印刷、UVインクジェットプリンタ、水性インクジェットプリンタを使い分けながらこれら交通系ポスターの需要に対応してきたが、同社が受注する交通系ポスターの多くは、用紙に制約のある水性インクジェットプリンタでは出力することができない「ラフグロス系」の用紙を好んで選択する顧客が多く、これをこれまでのUVインクジェットプリンタで出力すると、どうしてもインクが厚く乗るシャドー部に「テカリ」が発生するという問題が生じていたようだ。

 これについて同社の田畠社長は、「オフセット印刷と同じ絵柄のポスターを出力しても、オフセット印刷にはない『テカリ』がUVインクジェットプリンタで出力したものには生じていた。しかしこれは当社が使用していたUVインクジェットプリンタに限った話ではなく、他のメーカーのインクジェットプリンタでも当時は解決できなかったため、顧客にも妥協してもらうしかなかった」と話しており、そのテカリの問題を解決できることが「impala2」を導入した最大のポイントになったことを強調している。

 しかし逆に、この「swissQprint」シリーズでは出力後の仕上がりがオフセット印刷よりマット調になり過ぎる状況であるが、これはインクを吹くと同時にUVランプを当てることでマット調が強くなる現象である。しかし「swissQprint」シリーズは、インクジェットノズル左右のUVランプのON/OFFの切り替えを独立して制御することができるため、わざと時間を置いてランプを当てることで、インクがレベリングしてオフセットインキの光沢感にすることができる。これがimpala2が「マット調」や「テカリ」の問題を解決できる理由である。取材中、田畠社長はオフセット印刷とimpala2の出力サンプルを手にしながら、「オフセット印刷との近似性を、さらに高めることに成功した」と語り、オフセット印刷と遜色ないimpala2の比較サンプルに自信を見せた。

 また、今年5月にドイツで開催される「FESPA2015」で正式にお披露目となるimpala2は、従来のimpalaと比較して印刷範囲が25%広がり、また印刷速度は1.7倍にまでスピードアップしており、同社では従来のUVインクジェットプリンタからの変更により、生産性も3〜4倍にまで向上したようである。

 impala2の導入効果について、同社クロスメディア部の栗原秀樹部長は「B倍を1枚3分程度で出力でき、従来機と比べると3〜4倍の生産性がある。また、ロール紙対応でもあるため数時間であれば無人運転も可能となっており、省力化にもつながっている」と評価しており、impala2に入れ替えた効果は大きいと満足げな様子で語っている。

 「swissQprint」シリーズは、一般的なCMYKに加え、ライトシアン、ライトマゼンタほか、美しいモノクロの画像のためのライトブラックや、通常の6色系だけでは出せない広い色域を表現するための3色の特色と、透明素材や色の着いた木の板などにも鮮やかなカラーで印刷するための白、そして光沢を出すためのバーニッシュインクなど、合計13種類の中から9種類を選んでプリンタに搭載することができる。

 田畠社長は、「当社ではCMYK+ライトシアン+ライトマゼンタ+グリーン+オレンジの8色の印刷が可能になっているが、せっかくの広い色域をまだまだ生かしきれていないので、今後は実践でノウハウを積みながら、色域の広さを強みにできるよう研究していきたい。また、バーニッシュ(透明厚盛り)も可能であるため、この点もアピールしながら受注拡大につなげていきたい」と語っており、今後はルキオ社の技術サポートにも期待しながら、インクジェット事業のさらなる拡大を目指していく方針だ。