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躍進企業REPORT

澤本印刷所:オフとデジタルの融合-komori「Impremia1052/エンスロン26」導入

印刷ジャーナル 2015年1月1日
澤本社長
「エンスロン26」は中山オペレータが担当
Impremia 1052を2台導入

 澤本印刷所(大阪府八尾市、澤本淳社長)は、1969年に創業。澤本社長は3代目として祖父、父の事業を継承している。創業当初からの大手事務用品メーカーのノート関係等の業務を受け継いでおり、現在でも売上の約9割を占めている。同社は5人体制で切り盛りしているが、澤本社長以外はすべて女性であり、女性の感性や細やかさが同社のものづくりの強みとなっている。新たなナンバリングの仕事に対応するために昨年7月、(株)小森コーポレーションよりモノクロデジタル印刷機「Impremia(インプレミア)1052」を2台、9月には菊半裁4色機「エンスロン26」を相次いで導入。その導入経緯や成果について、澤本社長に伺った。


商品ラベルへのナンバリングは初めての試み

 同社は、大手事務用品メーカーの仕事を請け負うパートナーとして、創業以来50年にわたって親密な関係を構築。大手事務用品メーカーの主力商品である学習ノートのパック販売に使用される商品ラベルを主に印刷している。全国で展開される商品ラベルは100種類以上に及び、すべての商品ラベルは同社が印刷している。今回、大手事務用品メーカーが学習ノートの販促キャンペーン実施を決定し、パック販売の商品ラベルの相談が同社に持ち込まれた。
 「キャンペーンは商品ラベルを活用する内容で商品ラベルの表裏をオフセットで印刷し、断裁後に裏面に追い刷りでナンバリングし、商品サイズに断裁して仕上げるもので、半年間で700万枚を作る仕事であった」(澤本社長)
 追い刷りでのナンバリングは、大手事務用品メーカーでも初めての試みであり、実際にナンバリング専門の会社に打診したところ、「生産性の面でとてもではないが納期には間に合わない」との返事であったという。

Impremia 1052導入でキャンペーンの仕事を受注

 「今回のキャンペーンの仕事は、デジタルに移行するいいチャンス」と判断した澤本社長は、KOMORIにデジタル印刷機について相談。Impremiaのプレゼンテーションを受けた澤本社長は、「Impremiaならば当社でもナンバリングの仕事が可能だ。そして今回のキャンペーンの仕事をこなすには2台が必要だ」と判断し、大手事務用品メーカーの了承を得る前に「Impremia1052」2台の導入契約を決めている。またナンバリングの仕事に対応するために、バリアブルソフトもセットで導入している。
 「導入を決めた時、今回の仕事で当社が採用されなかった場合、どうしたらよいのかという不安で眠れない日々が続いた。しかし、Impremiaはその不安を払拭し、見事に当社にキャンペーンの仕事をもたらしてくれた」と振り返る澤本社長に、導入成果について伺った。
 「2台体制のフル稼働で約2ヵ月間に通し枚数は70万枚を超えている。トラブルもなく、その耐久性には驚いている。女性のパート従業員が担当しているが、誰もが扱える操作設計になっており、安心して稼働できる」(澤本社長)

仕事の幅を広げる厚紙対応のエンスロンを導入

 「以前からオフセット印刷機の導入を検討していた」という澤本社長に「エンスロン26」の導入理由についても聞いた。
 「最近では、印刷物のデザインも非常に複雑化し、見当精度や色調再現性などがシビアになってきた。また当社はメーカーとの直取引を行っていることから、納期対応などは迅速に対応することを心がけている。ですから、トラブルが発生した際に24時間対応してくれることが絶対条件であり、KOMORIのサポート体制なら本当に安心感が持てる。導入するならKOMORI機以外にないと考え、エンスロンの導入を決めた」(澤本社長)
 「エンスロン26」は、Impremiaの導入間もない昨年9月に納入され、フル稼働している。エンスロンの導入成果について澤本社長は次の様に説明する。
 「仕事の幅を広げ、生産性が向上できる菊半裁機であること。厚物対応が可能であること。アミの再現性や見当精度に優れていること。操作性が楽で時間短縮ができること。それに当社は100%本機校正を原則としており、エンスロンはそれらに問題なく対応できる」(澤本社長)
 エンスロンのオペレータは、一昨年入社した25歳の女性である。美術大学時代に同人誌の印刷発注などの経験もあり、それなりの印刷知識を持っていたためオペレータとして採用したという。

エンスロンの印刷物に追い刷りでナンバリング

 中山夏美オペレータに「エンスロン26」の操作性やメリットについて伺った。中山オペレータは、エンスロン以外にも仕事内容に応じてImpremiaのサブオペレータや印刷データの加工、ナンバリングのデータ出力処理なども行っている。
 「驚いたのは、これまでの印刷機とは違い、自動化が進んでいたこと。自動で洗浄でき、版交換もセミオートで作業負担が軽減したことで生産性も向上している。また、アミの再現性が高く色調整も以前と比べ簡単にでき、作業時間短縮につながっている。女性視点では、見やすいタッチパネルで安心して操作できることも魅力。とくに大きな効果は、追い刷りでのナンバリングにトラブルがなくなったこと。以前はパウダーがトラブルの原因であったが、エンスロンではパウダー量をかなり抑えても問題なく印刷でき、安心してImpremiaに回すことができる。1ヵ月に満たない稼働だが、もっと勉強してエンスロンの機能を引き出し、さらに生産性を高めていきたい」(中山オペレータ)
 澤本社長は、「オフセットで刷った商品ラベルにデジタル印刷機でナンバリングの追い刷りの仕事は、決して簡単なものではない。これまでの当社のノウハウと最新設備による生産、そしてKOMORIからのアドバイスやサポート体制があったからこそ実現できたと思っている」と語る。

Impremiaや厚紙印刷で新たなビジネスを追求

 「メーカーの印刷立ち会いにも自信が持てようになった」と語る澤本社長は、今後の展開について「Impremiaは多くの可能性をもたらす設備だと実感している。小ロット化がさらに加速していく市場環境では、デジタルの特性がさらに効果を発揮するはず。すでに顧客からは住所などのバリアブル印刷への問い合わせもある。今はキャンペーンの仕事で手一杯だが、今後安定した状態となったとき、改めてバリアブルをはじめとするImpremiaの機能を活かせる新たなビジネスにチャレンジしていく。さらに、エンスロンの導入で、私の念願であった厚物印刷への対応が可能となり、これからはその特性を活かした仕事にもチャレンジしていきたい」と、継承した業務の拡充と新たなビジネスへのチャレンジに意欲を燃やしている。