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躍進企業REPORT

メイセイプリント:リスク分散を目的に関東工場を開設

印刷ジャーナル 2014年10月15日
初導入したニスコーター付きUV印刷機
圧着加工ラインは本社と合わせ4ライン目を導入

UV印刷機を初導入
将来的には本社と同等レベルの工場めざす

 仲間仕事専門で「圧着DM+宛名印字+投函」までを一貫して行う(株)メイセイプリント(本社/愛知県清須市枇杷島駅前東1-3-3、渡辺敏夫社長)は10月より、東京都板橋区に開設した「関東工場」の本格稼働を開始した。同社にとって同工場の開設はリスク分散を目的としたものである。ニスコーター付きUV印刷機導入によりさらなる生産性の向上や、V折圧着ハガキなら月産100万通は生産できることとなった。また、関東の既存顧客からの信頼度向上など、リスク分散の他にも様々なメリットが出ているようだ。渡辺達也副社長は「印刷機が1台増えた事で生産量は向上し、また本社とうまく連携することにより、V折やZ折と専任できることによりさらなる効率アップも図れると思う」と話しており、今よりもより良いサービスや対応力を向上させる考えだ。


 同社は1993年、名刺・封筒・伝票などの下請けを行う印刷会社として創業。1995年にDTPを導入した後、CTP・4色印刷機をいち早く導入し、短納期小ロットカラーの先駆けとして、愛知県下を中心に同業者の信頼を獲得している。
 現在、折りや抜きの加工を施した様々な圧着DMのバリエーションは20種類以上。さらに昨今では形やサイズ、折り方などを工夫したDMサンプルも数多くラインナップしており、渡辺達也副社長は「数多くの郵便物の中に埋もれていても目立つDMサンプルを用意している。圧着方式のDMは封入封筒のDMと比べると工程が少ないため、その分、低コストで制作時間も短縮できる。また、封書DMと比べると数が少ないため目に付きやすく、めくるだけで内容を確認できるため、心理的にも開封率が高い」と圧着DMの優位性に自信を見せる。
 また、昨今では社会のニーズにも応えて「UDフォント」の宛名印字にも対応。さらに「LED-UV」の宛名印字機も保有しているため、水性インクでは直接印字が難しいJANコードやコード39、NW7などのバーコードも綺麗に直接印字できる他、4インチ幅までの広い範囲のバリアブル印字、圧着ハガキの中面にも直接印字も可能になるなど、まさにDM制作のスペシャリストとして、多様なニーズへ対応の幅を拡大している。
 そんな同社がリスク分散を目的に2つ目の生産拠点となる工場を探し始めたのは数年前のこと。渡辺副社長は、「名古屋の本社は川に挟まれた場所にあり、台風などが来るとすぐに避難勧告が来るため、生産に影響が出る。また、3年ほど前には現場の半分以上がインフルエンザにかかって仕事に出てこられないという非常事態も発生した。その時は協力会社さんのおかげで対応できたが、受注した仕事を責任持って納品することを考えると2ヵ所目の生産拠点開設が急務であると考えた」
 当初は名古屋市内で土地を探していたようだが、なかなか思うような土地が見つからなかったという。同社は11年前より東京に営業所は開設していたため、そこでその予算を関東に回し、関東地域に工場を立ち上げようということになったようだ。
 その後、同社は東京都板橋区に地上2階建て(延べ床面積120坪)の社屋を借り、5月に営業所を同地に移転し、7月にはイトーテックの菊全判自動断裁機、正栄機械とハママツの圧着加工ライン、富士フイルムのCTPを一挙に導入した。そして9月には、リョービMHIのB2半裁ニスコーター付4色UVオフセット印刷機を導入し、生産体制が整ったことから、この10月より本格稼働を開始している。
 関東工場について渡辺副社長は、「名古屋の本社工場と合わせると、印刷が3ライン目、圧着加工が4ライン目の設備となり、現在は生産ラインが1つ増えたという感覚だが、将来的には本社と同等レベルとなるような工場を目指したい」と話す。V折りで月100万枚ほどの生産が可能で、すでに本社工場の3分の1ほどの生産が可能となっている。
 また、渡辺副社長はUVオフセット印刷機導入による品質向上とともに、関東工場の開設は関東の既存顧客からも非常に喜ばれており、リスク分散の他にも、関東工場開設によって結果的に様々な効果が出ていることをアピールする。
 「まずはしっかりと関東工場を立ち上げ、お客様により良いサービスを提供できるようにしていくことが最優先ですね」


 今年で43歳という渡辺副社長は、「名古屋而立会」の会員でもある。その活動が経営に非常に役立っており、それが今回の関東工場開設にもつながったようだ。
 「名古屋而立会の活動で知識の幅が広がり、これが経営にも役立っている。リスク分散の必要性も名古屋而立会の勉強会で得た知識であり、それにより、関東工場の開設も間違いないと決断することができた」(渡辺副社長)
 同社は今後も而立会活動に積極的に参加しながら、自社の方向性を定めていく方針だ。