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躍進企業REPORT

ホタルコーポレーション:連続無人運転によるインクジェット出力を実現

印刷ジャーナル 2014年5月15日
同社スタッフは全員が「マルチスキルオペレーター」(右端が石村社長、左端が福永取締役本部長)
PrintROBO-60-HT
全75枚の治具パレットを収納するマガジンストッカーを搭載。スマホカバーなら8時間の無人運転で1,000個以上の出力が可能

ミマキエンジニアリング製「PrintROBO-60-HT」導入

 毎月1万個以上のスマホカバーにIJ出力を行う(株)ホタルコーポレーション(本社/大阪市西区、石村慎一社長)は本年3月、その作業を連続無人運転で行える「PrintROBO-60-HT」((株)ミマキエンジニアリング製)を導入し、省人化による人件費削減と作業効率の飛躍的な向上を実現した。全75枚の治具パレットを収納するマガジンストッカーを搭載し、多品種小ロット生産にも対応。8時間で1,000個以上のスマホカバーに連続無人運転で出力できる。取締役本部長の福永進氏は、「IJプリンターを導入したというより、頼もしい仲間が増えた感じである」と評価しており、今後はスマホカバー以外のメディアへの出力にも活用していく方針だ。

スマホカバーに毎月1万個出力〜他メディアへの活用も視野に〜

 同社は螢印刷グループの企業として2007年5月に創業。2011年9月よりオフセット印刷以外の業務を専門とする新生・ホタルコーポレーションとして再スタート。当初はオンデマンド印刷を活用した様々な多品種小ロット印刷物の提案や、TwitterやFacebookに登録してあるアイコンやプロフィール写真を使って簡単に名刺を作ることができるオリジナル名刺販売サービス「Proca(プロカ)」などの開発を行いながら業容を拡大してきた(※現在はオンデマンド印刷とプロカの事業は螢印刷の事業となっている)。
 現在の主力業務である厚物メディアへのIJ出力は2010年8月に開始。紙メディア以外への印刷は初めての取り組みで不安もあったが、石村社長は「何もしないことが最大のリスク」と断言しており、今後も"挑戦に次ぐ挑戦"をスローガンに、新たな事業領域への挑戦を続けていく姿勢を強くしている。
 そんな同社の昨今の取り組みを紹介すると、昨年8月にブラザー工業のガーメントプリンターを導入し、Tシャツやエコバッグへの出力業務を開始。そして本年3月には、同事業の本格展開を目的にプリントTシャツECサイト「ほた亭」を開設。さらに3月末には、毎月1万個以上をIJ出力しているスマホカバーへの出力作業を連続無人運転で行うことを目的に「PrintROBO-60-HT」((株)ミマキエンジニアリング製)を国内初で導入するなど、新たな取り組みへの挑戦を加速させている。
 「当社の最大の強みはプロ意識の高さにあると自負している。それはスローガンである『挑戦に次ぐ挑戦』を成功するまで続けていくというチャレンジ精神とも言えるだろう。新規事業に取り組むとき、それが成功するという保証はどこにもない。たいていは壁にぶつかるものである。新規事業を成功させるポイントはその壁にぶつかったときに、それを何としても成功させるという強いプロ意識だ」(石村社長)
 同社では、 "我々はチャレンジャー"が合言葉でもある。これは社員数わずか4名の少数精鋭でありながらも、新規事業への飽くなき挑戦を続ける同社にぴったりの言葉であると言えそうだ。

全5台のミマキ製IJプリンターを設備

 オンデマンド印刷やプロカの事業を螢印刷に譲渡した現在、同社の事業の中核となっているのはIJプリンターを使用した厚物メディアへの出力業務となっている。全5台のIJプリンターは全てミマキエンジニアリング製のものとなっており、3台保有する「UJF-706」は幅700×奥行き600×厚さ150ミリまでの出力メディアに対応。また、「UJF-3042HG」は幅300×奥行き420×厚み150ミリまでの出力メディアに対応する他、コップなどの丸い素材を回転させながら出力する全周印刷システム「ケバブ」も保有している。
 ミマキエンジニアリングはIJ方式の自動ダイレクトプリント「PrintROBO-30」を既製品として発売しているが、同社がオリジナル仕様として導入した「PrintROBO-60-HT」はそのスペックを大幅に上回る。パレット25枚入り×3セットの全75枚の治具パレットを収納するマガジンストッカーを搭載し、8時間以上の連続無人運転が可能。スマホカバーなら8時間の無人運転で1,000個以上の出力が可能だ。
 治具にバーコートを貼り付けることで出力条件を読み取り、それに基づく印刷データを呼び出してIJ出力。これにより事前の設定通りの印刷が可能となり、素材によってインクノズル位置の高さを自動調整しながら印刷ジョブを実行する。もちろんバリアブル印刷にも対応している。
 「多品種小ロットの受注が増えたことで、治具交換の負担が大きくなり、オペレーターはプリントオペレーションから離れることができなかった。そこで何とか治具の交換時間を短縮できないかと考えた答えが、ミマキエンジニアリングのプリントロボだった。色々と意見交換をさせていただいた結果、当社オリジナル仕様の『PrintROBO-60-HT』を開発してもらった。セッティングさえ行えば、あとは長時間の連続無人運転が可能であるため、これまでのようにオペレーターがプリンターにつきっきりになる必要がなくなった。IJプリンターを導入したというより、頼もしい仲間が増えた感じである」(福永氏)
 同社のスタッフは全員がデザインから画像処理、WEB、IJ出力、ガーメントプリンター出力など複数の業務をこなすことができる「マルチスキルオペレーター」であるため、これまでプリントオペレーションにかかっていた時間を別の仕事に回すことができるシステムを導入した効果は特に大きいと言えるだろう。

 印刷業のノウハウを生かした様々な取り組みで成功している同社であるが、石村社長は「スマホカバーの受注もいつまでも好調であるとは限らない。当社は今後も新たな事業領域への挑戦を続けていく。何もしないことが企業にとって最大のリスクである」と断言しており、さらなる「挑戦に次ぐ挑戦」を続けていく姿勢を示している。
 今後の展開が楽しみな企業といって間違いなさそうだ。