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躍進企業REPORT

雄進印刷:芳野マシナリーの中速無線綴じラインを導入

印刷ジャーナル 2014年3月5日
深川社長
無線ラインの前で業務部の松下氏(中央)とオペレーターの大窪氏(右)、堀江氏
タッチパネルで表紙貼りも正確に行える
丁合部はつかむ厚さを自動で測るため調整時間が短くなった
昨年9月にはUV印刷機も導入した

安定感とサポート体制を評価 〜 出版分野の受注拡大に期待

 (株)雄進印刷(深川竜太社長)は昨年10月、新座工場(埼玉県新座市野火止2-8-9)に芳野マシナリーの中速無線ラインを導入した。クライアントの販促をサポートするための様々な商業印刷物を一貫生産する同社は、中綴じについては従来から内製化していたが、無線綴じの引き合いが増えてきたことから今回初めて無線ラインを導入。深川社長は「この導入を機に、今後は出版分野にも積極的にアプローチしていきたい」と話しており、無線綴じの受注拡大を本格化していく考えだ。

 同社は昭和55年創業の商業印刷物を中心とした印刷会社。クライアントの販促をサポートする企画から制作、印刷、製本・後加工までを一貫生産できる設備を有しており、ソフト・ハードの両面でクライアントから信頼を得ている。15年前に同社2代目に就任した深川竜太社長は、「バラエティに富んだ多種多様な広告宣伝物を川上から川下まで総合的に提供できることが当社の強み。お客様の販促を手助けしていける印刷会社を目指したい」と話しており、今後もクライアントのニーズに応えるための設備強化を続けていく考えを示している。

 そんな同社が芳野マシナリーの無線ラインを導入したのは昨年10月。9月に竣工したばかりの新工場に、初の無線ラインを戦列に加えた。同社は9月にも小森コーポレーションのUV印刷機を導入しており、新工場の竣工とタイミングを合わせ、工場のスペックを飛躍的に向上させたと言えそうだ。

 同社では現在、無線綴じの受注は3割程度まで増えており、さらなる受注拡大と出版分野への積極的なアプローチを目的に無線ラインの内製化を決めた。数あるメーカーの中から芳野マシナリーを選択した理由について深川社長は、「芳野マシナリーのラインは、回転数を上げても安定感があると感じた。また、サポート体制もしっかりしていると感じて導入を決定した」と話しており、導入後3ヵ月が経った現在、その決断は間違いなかったことを実感しているようだ。

 業務部の松下慎吾氏は導入当初のエピソードとして、「慣れていない頃は、メーカー立ち会いのもと作業を行うことも多かったが、あるとき、外注に出していた刷本が夜中の到着になることがあった。その時も担当営業の方は刷本が到着するまで待っていてくれ、無事に仕事を終えることができた」と振り返り、芳野マシナリーのサポート体制の良さを評価している。

 現在、同社の無線綴じのロットは1,000〜5,000冊が中心。このため、同社は機種選択にあたり、高速ラインではなく、丁合機18駒(乱丁検査カメラ・ウエイトチェッカー付)+最大7,000回転/時の中速無線綴じラインを選択した。この理由について深川社長は、「当社の無線綴じの仕事は平均して1日1〜2万冊ほど。このため、回転数よりもハンドリングの良さを優先させ、セット替えの容易な中速タイプを選択した」と話している。

 一方、実際に同ラインで作業を行っている製本オペレーターの大窪英雄氏は、表紙貼り部のタッチパネルを高く評価している。

 「表紙の流れを変えたいときなど、感覚ではなく、タッチパネルにより数値により正確に流れを変えることができる。また、ジョブの内容を記憶できるため、定期物に効果を発揮している」

 また、同氏は丁合部について「つかむ厚さを自動で測るため、手動と比べると調整時間が短くてすむようになった」と評価。今後も芳野マシナリーのサポートも得ながらセット時間短縮などにも取り組み、1日も早く無線ラインを使いこなしていきたいと話す。

 「当社はこれまで商業印刷物を得意とする一方、出版系が弱い部分があった。今後は出版系へのアプローチをさらに積極的に行っていくとともに、新たに導入したUV印刷機を活用し、さらに総合的な販促印刷物の制作に取り組んでいきたい」(深川社長)

 後加工の幅を充実させた同社の新たな販促印刷物への取り組みに注目したい。

 なお、今回同社に導入された無線ラインのスペックは次のとおり。

【基本仕様】
▽製本サイズ=A6〜B4
▽製本速度=Max7,000冊/時(ただし本寸法と厚さによる)
【機械構成】
(1)万力式丁合機、137型18駒(画像乱丁検査装置-トライデント付)
(2)無線綴機、WB-18DC-2S(18駒、2ショット、PUR対応、コンピュータ制御装置搭載)
(3)重量検知装置、排出装置付スタッカーコンベヤー
(4)三方断裁機(デネブ)300型
(5)交互集積装置