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躍進企業REPORT

関西化工:A倍判 板紙対応の4色印刷機導入 〜 表面加工に印刷を融合

印刷ジャーナル 2014年1月1日
植田社長
厚紙にも対応するA倍判4色印刷機
豊富な加工設備で印刷会社のニーズに対応

印刷会社を買収し、新領域へ挑戦

 光沢加工業界トップクラスの品質管理体制を誇る関西化工(株)(本社/東大阪市菱江2-4-30、植田稔久社長)は昨年8月に印刷会社を買収し、その印刷工場を自社の第2工場(東大阪市布市町3-2-57)として稼働を開始している。第2工場には、大阪でも数少ないA倍板紙対応の小森製4色オフセット印刷機が設備されており、「表面加工技術だけで新領域に挑戦するのが難しい中、希少価値のある印刷機の導入で新たな活路を見出していきたい」と植田社長。A倍板紙カラー印刷と表面加工技術の融合で新領域に挑戦する。


 同社は昭和56年、光沢加工業に長年にわたり携わってきた先代社長が設立。当初から設備投資に力を入れていた同社では、自動のPP機なども早い段階から導入。現在は5台のラミネーターをはじめ、プレス機、ビニール加工機、エンボス加工機などの各種加工機を取り揃え、多様化するニーズに対応している。植田社長は「印刷会社の下請けであるが、どのような要望にも応えていけるパートナー的な存在を目指したい」と話し、そのためにも設備投資には今後も力を入れていく考えだ。
 そんな同社が印刷会社買収の相談を受けたのは7月のこと。相談を受けたのは年配の方がたった一人で経営する印刷会社で、昔からの職人気質が強く、今の時代では経営を続けていくのは難しいのではないかと植田社長も内心では感じていたという。そんな折りにあった買収の話。どこの企業も厳しい経営環境が続く中、同社も決して例外ではない。しかし植田社長はそれを変革のチャンスと捉えたようだ。
 「変革の時代と言われるが、表面加工の技術だけで新たな領域に挑戦するのには限界がある。買収した印刷会社の設備は印刷機1台だけであったが、大阪でも2〜3台しかないA倍板紙対応の4色オフセット印刷機を保有していた。同業者にも印刷機を保有する会社はいくつかあり、新領域への挑戦に憧れを抱いていた気持ちもあったが、希少価値のあるA倍板紙カラー印刷と表面加工を融合させれば、印刷機を所有する他の光沢加工業者と比較しても差別化につながるのではないかと思い、買い取ることを決断した」(植田社長)
 同社の印刷サービスは、関西でも希少なA倍(1,270×950ミリ)サイズを4色印刷できるだけでなく、厚みのある板紙にも対応。A倍印刷は加工が難しく、高度な技術が必要だが「当社の表面加工のサービスとあわせて利用すれば品質も安定するので安心して任せて欲しい」と植田社長は品質に自信を示す。同社では、チェックシートなどを活用した厳しい品質チェックを通過した製品のみを取引先に納品しており、またラミネートについては実際のサンプル加工機を配備しているため、サンプル出力で事前に仕上がりを確認することができる。これが同社が品質に自信を持っている理由だ。

様々な加工サービスで多様なニーズに対応

 同社では、ラミネート加工、マットPP、サック用PP、ホログラム、アルミ蒸着PETフィルム、シリコンPETフィルム貼り、プレスコート、ビニール引き、マットビニール引きなど、様々な加工サービスに対応している。
 「当社はどこよりも品質にこだわりを持ち、取引先の印刷物がより美しく、魅力的で、艶やかに仕上がるように努力している。また、当社では印刷物を『化学の力』で加工するため、化工という表現を用いて加工サービスを提供している。社員一人一人が、化工のプロフェッショナルとしてポリシーを持ち、仕上がり・品質を追求し、取引先の希望に応える印刷化工(加工)のアーティストとしての誇りを持っている」(植田社長)
 表面加工を一般社会へも周知することで業界全体の発展にもつなげていくため、同社は仕上がり・品質をさらに追求していく。表面加工に「印刷」を融合させた同社の今後の取り組みが注目されそうだ。