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躍進企業REPORT

伊藤手帳:「手帳品質日本一」を目指す

印刷ジャーナル 2013年9月15日
伊藤社長
伊藤生産部長
アスターEVO型 自動糸かがり機
年間600万札の手帳を生産
工場内に掲げられたスローガン

「アスターEVO型 自動糸かがり機」をエスケイセールスより導入
糸かがり品質と検査性能が向上

 「目指せ!手帳品質 日本一」。1年前に竣工した伊藤手帳(株)の小牧工場(小牧市三ツ渕1000)には、スローガンとするこの看板が大きく掲げられ、消費者ニーズを満たす多種多様な手帳の一貫生産が行われている。同社はこの新工場竣工と合わせ、国内1号機のメカノテクニカ社「アスターEVO型 自動糸かがり機」を(株)エスケイセールスより導入し、検査品質と糸かがりの仕上がり品質を大幅に向上させるとともに生産能力を倍増させた。そこで今回、手帳一筋62年、使う人の気持ちを考えながら手帳作りに励む、同社の伊藤亮仁社長と伊藤広幸生産本部長に導入経緯と成果などについてお話を伺った。


 生活者のライフスタイルの多様化とともに、昨今は手帳にも様々な機能が求められている。特にビジネスマンには週間予定と月間予定を同時に確認できるセパレートダイアリーなどが人気だ。また、表紙についても従来のビニールカバーだけでなく様々な素材を使用したものが発売されており、同社の手帳も8割がオーダーメイドとなっている。
 手帳の市場もタブレットやスマートフォンなどデジタル端末の影響がない訳ではないが、同社の伊藤社長は「企業の社員手帳は経営理念の浸透や社員教育として活用する企業が多く、生産量は若干減少しているが止めるということにはならない」と話しており、これに市販のビジネス手帳やキャラクター手帳、生徒手帳などを加えると、生産数は年々増加しているようで、同社の現在の年間生産量は600万冊を超すまでに増加している。

1年前に1,100坪の敷地面積を誇る小牧工場を竣工

 同社は1年前まで、名古屋市内の某所に100坪の工場を所有していた。しかし年々生産量が増加する中、キャパは限界に達していたという。そこで同社は1年前、従来の10倍以上の敷地面積を誇る1,100坪の小牧工場を竣工し、設備面を大幅に強化。さらに、手帳のセット作業から仕分け・包装・発送までを行う子会社の(株)セット・アップを従来の北名古屋市から小牧工場に同時に移転させるとともに、協力企業であった、手帳のビニールカバーおよびその他ビニール製品の製造を行うビニ・テック(株)をM&Aし、同社も小牧工場に移転させた。「大規模な設備増強に加えてグループ企業を小牧工場に集中させたことにより、手帳の一貫生産体制の確立と物流時間の短縮を実現し、生産キャパは一気に2倍以上に向上した」と伊藤社長は現在の生産キャパに自信を示す。

最新の「メカノテクニカ社 自動糸かがり機」を増設

 新工場の竣工により同社が向上させたのは生産キャパだけではない。同社では12年前よりメカノテクニカ社の自動糸かがり機「アスター2000型」を使用した手帳製本を行っているが、1年前に2台目として増設した「アスターEVO型 自動糸かがり機」は、国内1号機となるメカノテクニカ社の最新型糸かがり機となっており、検査性能と品質、操作性などを大きく向上させている。
 同社の伊藤生産本部長は新型の糸かがり機について、「対応サイズや生産スピードは『アスター2000型』とほぼ同等のスペックとなっているが、乱丁検査装置はバーコードをカメラで読み取るという新たな機能が搭載されている。また、糸かがりの品質についても他社製より糸の締まりが良く、きれいに仕上がる」と話しており、手帳品質日本一を目指す同社の眼鏡にも十分に適う機械となっているようだ。
 これまでは、糸かがりの工程が終わるのを待ってから次の工程に移るということも多かったようだが、「増設により待ち時間がなくなり、スムーズに作業が流れるため、大口の注文が来ても余裕を持って仕事を行えるようになった」(伊藤生産本部長)と、作業性でも導入効果を実感しているという。さらに、操作性についても、12年前に導入した「アスター2000型」はタッチパネル盤が文字であったが、新機種は絵柄になっているため、より簡単に操作が行えるようになったという。
 なお、同社は小牧工場竣工と合わせ、見返し貼り〜下固め〜背巻きラインまでを1台で行える機械をエスケイセールスより導入している。これまでは個別の機械で行っていた工程がまとまったことも、同社の生産性向上に大きく貢献している。

使う人の気持ちを考えた手帳作りで「手帳品質 日本一」を目指す

 同社がスローガンとする「目指せ!手帳品質 日本一」。しかし、「モノは人が創る」という社是のもと、設備だけに頼ったモノづくりは行わないというのが同社の方針だ。
 伊藤社長は「手帳というのは肌身離さず持っているもの。このため、手帳を使う1人1人のことを考えながら1冊1冊を大事に作っていこうと日頃から社員にも呼び掛け、品質を向上させるための社員教育と問題点の改善、工場の見える化に取り組んでいる」と、さらなる品質向上に努力していく姿勢を示している。同社が近い将来、手帳品質日本一として認められる日を期待したい。