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躍進企業REPORT

ティーアンドピー:創業40周年、色校正業からオンデマンドの印刷会社へ

印刷ジャーナル 2013年1月1日
辻井常務と辻井社長(右)

 (株)ティーアンドピー(本社/京都市南区吉祥院西ノ庄西中町6、辻井胤明社長)は昨年12月21日、昭和47年の創業から40年の節目を迎えた。色校正業の辻井製版としてスタートした同社はこの間、時代の変化に対応しながら幾度もの業態変革を進め、現在は企画からデザイン、オンデマンド印刷から後加工までを一貫生産できる企業への変貌を遂げている。「不惑の年」を迎えた同社の軌跡と今を紹介する。

 同社は40年前の12月21日、オフセット色校正業を専門とする辻井製版として、現在も社長を務める辻井胤明氏が創業した。辻井社長は、「当社は創業当時から、『イメージを本物に』を合言葉に印刷業界のお役に立ってきた」と話し、40年にわたる画像補整技術に自信を示す。その信頼性の高さは、印刷業界の内製化が進んだ現在においても健在で、「画像補整のみを依頼されることもしばしばある」(辻井社長)ほどだ。そして昨年には、昨今のWebの需要に対応するため、Web上で公開する顔写真の画像修正サイト「マジカルデジタルメイク(略称=マジデジ)」を開設している。
 創業1年後の昭和48年には(有)辻井製版として法人化するとともに、菊全版自動校正機を設置。その後も製版整備の増強を進めながら業容拡大にも目を向け、平成11年にはデザイン事業部を開設。そして平成14年、株式会社に組織変更すると同時に、現社名に変更した。
 長い歴史の中には転換を迫られる時期もあった。DTPの登場で印刷会社の内製化が進み、「毎月1,000〜1,500万円の受注を得ていた大口の印刷会社からの受注がゼロになった」(辻井社長)こともあった。近畿一円を営業に駆け回り、難局を乗り越えたものの、"印刷会社様からの仕事だけでは将来、会社経営が難しくなる"。そんな思いから同社は平成19年、オンデマンドカラー印刷システム「Page Master Pro 6500」を導入し、エンドユーザーからの直受注を増やしていく取り組みを開始。同時に断裁機、中綴じ製本機、折り機などの後加工設備を導入し、デザインから印刷、後加工までを一貫生産できるシステムを構築した。
 そして翌年の平成20年には丁合い機と無線綴じ製本機を導入、さらに平成22年にはオンデマンドモノクロ印刷システム「bizhub PRO1051」、平成23年にはオンデマンドカラー印刷システム「bizhub Press C7000」を入替え導入するなど設備増強を進めた結果、4年間でオンデマンド印刷の売上は全体の20%を超えるまでに拡大。現在は50%を超すまでに増えている。
 しかし、オンデマンド印刷機を導入したからといって簡単に受注が増える時代ではない。辻井正明常務は同社が心掛けてきた点について、「オンデマンド印刷の利点を活用し、どこの営業先にも使えるツールで営業するのではなく、採用される前から実際の現物を作って相手先に持っていく。当社はこれで相手先をやる気にさせ、受注に結び付けてきた」と話し、改めて企画力とデザイン力の重要性を説いている。また、同社は平成24年にプライバシーマークを取得。これにより、従来は個人情報を含む部分のみ別の企業に回されていた仕事も一括で頼まれるようになった。
 同社は現在、不動産会社と業務提携し、テナントが入った場合の「開店セット」や「イベントセット」、「ビジネスセット」などをテナントに置いてもらい新規受注に結び付けているが、さらに他の業界とのコラボも視野に入れている。これら他業界との関わりにより知識を深め、将来的にはマーケティングまでを行える会社を目指している。辻井常務は「マーケティングまでを行えれば、その結果に基づき、より説得力のある企画・提案ができるようになる。そしてそれを契機に間口を広げ、印刷以外の仕事も行える企業を目指したい」と話しており、さらに業容を拡大し、業態変革を進めていく考えだ。

 同社は40年前、中学を卒業してすぐに印刷会社で修行を積んできた辻井社長が若干23歳で創業した企業である。辻井社長は「金儲けに走るのではなく、相手に喜んでもらえる仕事をすれば、後から金はついてくる。そう信じてこれまでやってきた。印刷業界は厳しい経営環境が続いているが、当社は長年お世話になってきた印刷会社様を一番大切にしながら、エンドユーザーとの直受注も増やしていきたい」と話しており、創業40年を迎えられたことは印刷会社のお陰であると感謝の気持ちを表すとともに、今後も印刷業界の発展に尽くしていく姿勢を示す。
 四十にして惑わず--。同社は次に目指す方向をしっかりと定め、目標に向かって歩みを進めている。