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躍進企業REPORT

アサヒペン:DIALIBRE PORTAL「校正クラウドサービス」導入

印刷ジャーナル 2012年10月25日
木村部長代理
岩佐氏
校正クラウドサービスで営業企画部の作業もスムーズに進行
校正クラウドサービスの校正画面
アサヒペン本社

 製造メーカーが商品パッケージや製品カタログを制作する場合、関連する各部門の決済を得なければならず、その作業は本来の業務以上に煩雑だと言われている。大阪に本社を置く(株)アサヒペン(本社/大阪市鶴見区鶴見4-1-12)は、三菱製紙が開発したDIALIBRE PORTALの「校正クラウドサービス」を導入し、営業企画部と事業部、技術部といった部門間の連携を強化するとともに、内容チェック作業の時間短縮を実現している。クライアントにとって大きなメリットとなる「校正クラウドサービス」は、印刷会社の企画提案ツールとしても活用できそうだ。


一般家庭向けに特化した塗料メーカー

 アサヒペンは、DIY(日曜大工)向けの塗料を製造・販売するメーカー。工業用の割合は1%未満で、ほぼ一般家庭向けだけで年商130〜140億円の売上げを保っている。売れ筋のスプレー缶は、年間1千万本以上という販売実績だ。
 アサヒペンの本社で広告宣伝、販売促進、マーケティング、ウェブ関係などを受け持っているのが営業企画部で、そのひとつの業務として、商品パッケージやカタログのデザイン制作がある。
 アサヒペンには物作りの事業部が4つあり、営業企画部はその依頼を受ける形で、事業部の希望を盛り込んだ上、一般消費者のことを配慮したデザイン案を作成する。実際のデザインはデザイン会社に委託するが、基本的な方向性は営業企画部が決定している。
 1年間に発表する新商品は20〜30程度。ひとつのデザインを作成するのに携わっているのは、営業企画部の担当3名のほか、事業部と技術部の担当者、課長クラス、本部長クラスがチェックを行うため、10名ほどになる。4つの事業部を合わせると、40名近い人たちが内容のチェックに携わっていることになる。
 アサヒペンの新商品は、発売日が決まっているものと、パッケージができ次第発売するものがあるが、パッケージデザインは新商品発売の2ヵ月前に完成させる必要があるという。パッケージデザインができないと、その後の工程に進むことができない。予定通りに完成しなければ、新商品の発売の遅れにつながってしまうのだ。
 「パッケージデザインはなるべく早い段階で作らなければならない。パッケージが出来てからカタログを作り、営業マンに予告セールスをしてもらわなければならないから」と、営業企画部の木村拓部長代理は、営業面でもパッケージデザインが予定通りに出来上がることの重要性を強調する。

紙ベースから「校正クラウドサービス」へ

 商品パッケージやカタログのデザイン案は、これまではデザイナーが作成したデザインをインクジェットプリンターで出力し、紙ベースで事業部と技術部の関連部署に回覧して内容をチェックしてもらっていた。
 校正回数は、2回から多いときで10回以上。これまでは、1〜2週間を目安に事業部と技術部に回していた。しかし、予定通りにチェック作業が進まなかったのが現実だ。
 「順番に回していかなければならないので時間が掛かり、1ヵ月以上掛かることもザラだった。どこにあるのかわからないままの状態で止まっていることもあった」と木村部長代理。パッケージが遅れたため、発売が延期されたこともあるそうだ。
 「相反する意見があるときに、それを書いた人に話を聞きにいかなければならない。また、前の校正でOKが出ていたところに赤字が入ると、その理由を聞かなければならないわけだ。しかし、これまでの紙ベースの校正では、時間が掛かる上に、誰が書いたのかわかりにくいという問題があった」と、営業企画部マーケティング課の岩佐健太郎氏は付け加える。
 こういった問題を解決するソフトを探したが、価格が300万円もするということで、導入に二の足を踏んでいた。そこで目をつけたのが、三菱製紙のDIALIBRE PORTAL「校正クラウドサービス」だ。
 「こういうソフトの存在は知っていたが、クラウドになって費用的に導入しやすくなった。校正時間が短縮でき、履歴が残るので、校正の進捗度合いがわかるから、入れてみようと考えた」と、木村部長代理は導入に至った経緯を説明する。

デジタル検版機能も有効に活用

 「校正クラウドサービス」は、特別な設備やソフトを導入せず、月額3万円(10ギガまで)で、インターネットを使って入稿、校正、承認をスピーディーに行えるソフトウェア利用サービス。印刷物のデザインや内容のチェックに関わる人が、いつでも好きなときにアクセスできることが特長だ。このサービスを使うことによって、校正や内容チェック作業のコストダウン、時間短縮を図ることができる。
 「皆が同時に書き込めるため、校正の時間短縮につながっている。誰が赤字を書いたか、このシステムなら一発でわかるので、責任の所在がはっきりする」と、岩佐氏は「校正クラウドサービス」のメリットを訴える。
 さらに、「前回の校正と今回の校正のどこが変わっているのかが一目でわかる。注意書きの番号が変わったケースなど、見落としがちなところがチェックできる機能がついているところが良い」と岩佐氏。デジタル検版機能も有効に活用している。
 アフターサービスについても、「運用者用と校正者用のマニュアルを用意してもらい、わからないときにはコールセンターで対応してもらっているので、大変助かっている」と、満足している様子だ。
 「校正クラウドサービス」は、デザイナーや印刷会社とオンラインで連携を図ることが可能だが、現在のところ、社内の校正用だけに利用している。セキュリティの問題を心配して、オンライン化を許可してもらえないのだ。
 「もう少しクラウドを理解してもらってから、オンラインで接続したいと思っている。部署によってPCの環境が違うので、その辺を整備していくことも課題」と、木村部長代理はさらにシステムを整備していきたい考えだ。