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躍進企業REPORT

京都美術化工:「特殊加工のコーディネーター」〜 新型サックマシン導入、一貫生産体制を強化

印刷ジャーナル 2012年6月25日
左から、柴田工場長、大野社長、荻原営業部長
1年前に導入した新型サックマシン
新型サックマシンの前でオペレータの皆さん

 「印刷物の価値を高める」という使命に徹して半世紀。京都美術化工(株)(本社/京都市伏見区横大路朱雀町15の2、大野巌社長)は、表面加工から箔押し、トムソン、サックマシンなど、支給された刷り本を完成品まで一貫生産できる充実した加工設備を整え、高度化・多様化の進むクライアントニーズに対応している。1年前には新型サックマシンを導入しさらなる設備強化を図るなど、「特殊加工のコーディネーター」として、印刷会社から頼られるアドバイザー的な加工企業を目指している。

 同社の創業は昭和26年。高級印刷物の表面加工業として京都市下京区の地で産声を上げた。以降、時代の変貌とともに高度化・多様化するニーズに対応しながら設備の拡充に努め、現在は表面加工を行った後、最終の完成品になるまでの全ての加工を自社で一貫生産できる体制を構築している。この間、昭和37年に法人化し、本年10月には創立50周年という佳節を迎える。
 「当社は高級印刷物の表面ビニール加工業として半世紀にわたり業務を営んできた。この間、印刷関連事業の発展に伴い、その一翼を担うべく各紙工設備を増設してきたが、必要性はますます高まりつつある。一方、印刷業界における情報社会の飛躍的な開発と進歩に伴い、当社もきめ細かな対応のできる総合的なシステム提案を行える体制を構築し、常に印刷物の価値を高めることを目標に印刷会社の良きパートナーとなれるように努めている」(大野社長)
 設備増強に伴い、それが納期短縮につながったことは言うまでもないが、同社の柴田光寛工場長によると、それは「品質向上」という大きな副産物を生み出すことにもなったようだ。
 「表面加工だけを自社で行い、その後を他社に外注していた時には気付かなかったが、自社でトムソンやサック貼りまでするようになり『お互いの工程のやりやすさ』を考えた加工に取り組めるようになった。これが結果として全社的な品質向上に結び付いた」
 さらに、部分的な加工ではなく、完成品までを手掛けているという意識の変化が、一人一人の「品質へのこだわり」としても表れてきたようで、同社は一貫生産体制の確立により、様々な相乗効果を得ることができたようである。

新型サックマシンで小物の大量生産も可能に

 同社はさらなる設備の増強を進めるため、1年前に新型のサックマシンを増設している。従来のサックマシンは最低加工幅が40ミリ×40ミリからであったが、新型サックマシンの最低加工幅は30ミリ×30ミリからで、より小物にも対応が可能になっている。このサイズに対応するサックマシンを保有する会社は京都にないようで、大野社長は「これまでは40ミリ×40ミリ以下の仕事は大阪の会社に外注していたが、それも社内生産が可能になり、より納期短縮と効率化を実現した」と話している。
 新型のサックマシンは、化粧品パッケージなど主に「高品質」を求められるユーザーを中心に納入されている機種。このため、ベルトでの搬送時にもキズが付きにくく、さらにサック貼りした後の圧着コンベアの部分も長くなっているため、ハイスピードで生産しても糊付きが悪くなることもなく、品質面に優れる。さらに生産速度は最速で3万個/時の生産性を実現するものだ。
 同社の荻原眞人取締役営業部長は、「当社では大ロットの受注が入ることもあるが、2台のサックマシンを併用することにより、大ロットの仕事にも『短納期』かつ『高品質』に対応することが可能になった」と話しており、2台のサックマシンを印刷業界のためにフル活用していきたい思いを話す。
 さらに同社では、全ての仕事を工程管理システムで管理。荻原氏は、「完成品まで一貫生産するとなると、加工工程も複雑になってくる。しかし当社では全ての受注を工程管理システムに落とし込み、それぞれの仕事の進捗状況をリアルタイムに管理している。これにより、複雑な加工工程でもミスすることなくスピーディに対応している」と話しており、依然としてアナログでの受注管理が多い加工業界の中、IT化による効率化をすでに確立している。

本年10月に法人化より創立50周年

 昭和37年10月の法人化から、本年10月で50周年の節目を迎えるという同社。
 「これからも印刷物の価値を高めるという使命感に徹し、『特殊加工のコーディネーター』として印刷物の価値を高めるためのアドバイザー的な加工企業を目指していきたい。どのような仕事であっても引き受ける方向で相談に乗りますので、何なりとご用命いただきたい」(大野社長)
 業界にあっては京都紙工協同組合の現職理事長を務める大野社長。業界をリードする同社のさらなる躍進に期待したい。