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躍進企業REPORT

ホタルコーポレーション:オフセット以外の業務専門会社として始動

印刷ジャーナル 2011年9月5日
福永 進 氏
LED-UV硬化インクジェットプリンタ「UJF-3042」
薄物素材や電子機器にも対応
多数のインクジェット関連設備で幅広いニーズに対応

 螢印刷(株)(大阪市西区、有木孝志社長)グループの(株)ホタルコーポレーション(大阪市大正区)は、9月よりオフセット印刷以外の業務を専門とする企業として新たなスタートをきった。同社はこれに先立ち、8月にミマキエンジニアリングのLED-UV硬化インクジェットプリンタ「UJF-3042」を導入。同社グループでは、昨夏よりインクジェットビジネスに注力し設備強化を進めているが、今回の導入により、対応メディアをさらに拡大、小ロットから大量生産に応える体制を整えた。

 螢印刷は1959年に創業した印刷会社。多言語のテクニカルマニュアルやカタログを得意とする他、デジタルサイネージやECサイトなど、「情報加工のトータルソリューション」を標榜するグローバル企業として、多角的に事業を展開している。そんな中、同社が新たな事業として期待をかけているのが「インクジェットビジネス」である。紙メディアでの受注拡大が困難な中、新規開拓の突破口を開く新事業として注力している。

薄手の素材や電子機器などにも出力が可能に

 同社がインクジェットビジネスを開始したのは昨年の夏。まだ1年ほど前のことであるが、同社はこの間これを切り口に、何軒もの新規顧客を獲得してきた。「インクジェットビジネスが新規開拓の切り口になることはこの1年で確信することができた」とは、同部門責任者の福永進氏の弁である。同社が導入したミマキエンジニアリングの「UJF-706」は、150ミリ厚までの様々な素材に出力できるため、「それを知らせるだけで、お客様の方から仕事の話をいただくこともあった」と福永氏。また、「UJF-706」は関西での導入企業がほとんどないため、従来は東京に出されていた仕事が回ってくるなど、需要は想像以上だったようである。
 ただ、唯一の不安要素として、「UJF-706」の紫外線ランプは高温のメタルハライドタイプであるため、アクリルやクリアファイルなどの薄手素材だと、高温により膨張したり波打ったりする可能性があった。また、ライターやUSBメモリーなどの電子機器なども、高温の紫外線に触れさせるには心配があった。このため、「お客様からお預かりする素材を傷付けるわけにはいかず、試作の段階で諦めざるを得ない場合もあった」と福永氏は話す。
 そこで今回、同社は高温で素材を痛める心配のないLEDを搭載の「UJF-3042」を導入した。これによりさらに幅広い素材に、安心して出力できるようになった。

多品種・小ロットから大量生産までに対応

 同社が昨年の夏に導入した「UJF-706」の対応サイズは、幅700×奥行き600×厚さ150ミリ。これに対し「UJF-3042」は、幅300×奥行き420×厚み50ミリまでの出力メディアに対応するもので、小型で小回りの効く対称的な機種となっている。同社ではこれを使い分けることで、顧客に安心を与える品質を提供するとともに、作業効率の向上と納期短縮を実現している。
 「例えば、試供品の香水などを入れるスプレーやボールペンなどは大量ロットで受注することが多いため、『UJF-706』を使うほうが効率が良い。逆に小ロットの場合は、小型の『UJF-3042』の方が立ち上がりも早く向いていると言える。今回の導入により、多品種・小ロットから大量生産まで、さらに熱に弱い素材にも出力が可能になった」(福永氏)
 また今回、同社は「UJF-3042」を東京螢印刷(株)(東京都千代田区)にも同時に導入した。東京の市場もインクジェットを切り口にして新規開拓を進めると同時に、東京・大阪間の情報交換と技術交流を深めていくことを狙いとしている。

9月から新生ホタルコーポレーションが始動

 「今後も設備増強を進めながら、お客様に当社が何をできるのかを伝え、潜在需要の開拓を進めていきたい。また当社では見学も大歓迎なので、お気軽に問い合わせて頂きたい」(福永氏)
 同社グループでは9月より、ホタルコーポレーションがオフセット印刷以外の業務を専門とする企業としてスタートした。WEBによる「オーダーグッズビジネス」などのさらなる新展開も視野に入れている。インクジェットビジネスはその中核事業と位置づけ、さらに注力していく。