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躍進企業REPORT

水三島紙工:紙面検査システム「コレクトアイ」導入で、「顧客第一主義」をカタチに

印刷ジャーナル 2011年1月25日
コレクトアイの導入効果を発表する中川社長(中央)、谷田製造本部長(左)、市川製造部製版課課長
入力に影響する光を遮った場所に設置された「コレクトアイ」

 「情報をカタチに、情報をビジネスに...」--ビジネスフォーム印刷の水三島紙工(株)(本社/大阪市城東区野江1-16-4、中川博志社長)は昨年10月、主力業務である株式関連帳票の品質保証体制のさらなる強化を図るべく、入力装置にデジタルカメラを採用した紙面検査システム「コレクトアイ」を導入。基本理念である「顧客第一主義」をより明確に品質保証というカタチで表現し、さらなる信頼獲得を目指す。

上場企業約1200社の株式関連帳票手掛ける

 同社の創業は1933年。静岡県三島地区一円の製紙会社代理店として産声をあげた三島商店がその原点だ。1955年に現在の社名に改称するとともに、紙製カードの特定の位置に穴をあけることによって情報を記録する日本初の国産パンチカードの製造を開始。これがビジネスフォーム印刷企業としてこれまで大きな成長を遂げてきた同社の礎を築いたと言える。
 その後も日本道路公団磁気通行券の製造販売をはじめ、磁気カード事業などを手掛け、現在ではOAサプライ事業やデータ処理のアウトソーシング業務など、事業領域を着実に拡大し、幅広いユーザー層に「情報活用」を提案している。
 ビジネスフォーム事業は売上全体のおよそ6割を占める中核ビジネス。なかでも配当金の領収書や委任状といった株式関連帳票に強みを持ち、上場企業の3分の1にあたる約1200社の仕事を手掛けるなど、この分野では他社の追随を許さないトップ企業として知られる。

最終出口でさらにシステマチックな検査システムで抑える

 言うまでもなく、株式関係の帳票印刷にはシビアな品質管理体制が要求される。同社にとって、その文字情報の正確性を確保することは生命線とも言えるだろう。同社では、4年程前から紙面検査システムを使って、CTP出力直前に、校了紙とRIP後のデータを比較することで、その品質を保証してきた。
 しかし、ある連続帳票の仕事で、上下2面の単純殖版を行った際に予期せぬトラブルが発生した。当然、上下2面は全く同じものであるはず。しかし「年月日」という文字がひとつの面で刷版上から消えていたというのだ。
 常識から考えて起こりえないこのトラブルについて、メーカーと数ヵ月に及ぶ検証調査を行ったが、結局、原因は特定できなかったという。このことについて中川社長は「『顧客第一主義』を基本理念に信頼を積み重ねてきた当社にとって、原因不明のトラブルは命取りになる」とし、「株式関連業務でこのようなミスが起こっては...」ということから、直ちに新たな品質保証体制の見直しに入った。
 同社ではこれまで、システマチックな検査工程として、校正中に行うデジタルデータとデジタルデータの照合(操作ミス等による誤植や脱字の検査)、また校了紙とRIP後のデータの比較(校了紙と校了データの完全一致の検査)という2段構えで対応してきた。つまり、校了紙と比較したRIP後のデータがOKならば、その後の面付け工程、CTP出力工程は保証できるという考え方のもと検査工程を運用してきた。そして印刷工程に起因するミスは最終的に目視でチェックする。しかし、今回起こった原因不明の文字欠けを防ぐには、最終出口でさらにシステマチックな検査システムによって抑える必要性があると考えたわけだ。つまり、刷り出しと校了紙の比較である。これならば、印刷機側に起因するトラブルも未然に防ぐことができる。
 ただ、刷り出しを入力するWet対応の非接触スキャナは設備的に大がかりで、何より高額になる。そこで白羽の矢が立ったのが、入力装置にデジタルカメラを採用した(株)ジーティービー製紙面検査システム「コレクトアイ」だ。
 同社が新たな検査システムに必要とした条件は、「単面対多面付けの検査が行えること」「あおり検査のように、重なった状態で表示、プリントアウトできること」「スキルレスで誰でも扱えること」「業務として平準化できること」「効率が下がらないこと」「比較したいものをリアルタイムにデータ化できること」など多岐にわたった。検証の結果、これらすべての条件を満たす検査システムとして「コレクトアイ」の導入を決定。昨年10月から生産現場の品質保証に貢献している。
 製造本部長兼大阪工場長の谷田忠嘉氏は「我々はとくに、専属人員が不要な誰でも使えるシステムであることを最重要条件とした。簡単な操作や誰がオペレーションしても同一結果が出るトレーサビリティには大変満足している」と高い評価を示している。

コレクトアイの運用対象拡大、包括的な品質管理体制強化へ

 「コレクトアイ」は、これまで多くの検査システムがスキャナを入力装置として採用してきたのに対し、デジタルカメラを採用することで入力時間を短縮し、安価な設備投資で効率の高い検査工程を構築できることを特徴とする。水三島紙工でも検査時間はおよそ2分程度。これまで最終段階のチェックを目視に頼っていた株式関連帳票の品質保証において、効率化、確実性、人件費削減など、多くのメリットをもたらしている。
 製造部製版課課長の市川博光氏は、「現在、株式関連帳票の仕事は100%コレクトアイで検査し、大きな成果を上げているが、今後はそれ以外の仕事でも運用し、全業務における品質管理体制を強化していきたい」と語る。
 同社の生産拠点は大阪と東京の2ヵ所。今回の大阪工場で採用した「コレクトアイ」の導入効果を背景に、大阪以上に株式関連帳票の仕事が多い東京工場への導入も視野に入れ、同社全体における品質管理体制の強化を図りたい考えだ。