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躍進企業REPORT

サインアーテック:超大型UVインクジェットプリンタでSP活動を支援

印刷ジャーナル 2008年8月5日
山林資和氏
HP SCITEX XP5100
オートカットマシン

 (株)サインアーテック(埼玉県飯能市中藤下郷425-2、山口健二郎社長)は、超大型ターポリンのインクジェット出力加工で成長してきた企業である。現在は幅5mの超大型機2台とミドルクラス8台の計10台のIJプリンタを保有。とくに、一昨年暮れに導入したUV硬化型超大型IJプリンタ「HP SCITEX XP5100(旧NUR Expedio5000)」は、ターポリンをはじめ印刷用紙など幅広い出力メディアに対応するもの。同社ではこの超大型IJプリンタをはじめ、豊富な加工設備の活用で印刷会社によるSPツールやサインの受注の活性化に期待する。

 「印刷会社もクライアントからSP機能(セールスプロモーション)を求められる昨今、紙の印刷のみならずサインディスプレイのノウハウを含めたトータルな対応力を有しているか否かが優位性のポイント」と語るのは、同社取締役営業本部長の山林資和氏。同社ではこれまで、旗・幕業界やサインディスプレ
イ業界を中心に、超大型のターポリン出力、そしてウエルダーやハトメ、ミシンなど出力後の加工に対応できる豊富な設備をセールスポイントに事業を拡大してきた。しかし昨今では、SPを展開する一部の印刷会社からの仕事が徐々に増加しているという。
 埼玉県飯能市は、市内の7割が山林という奥武蔵の豊かな自然に恵まれた街である。同社はこの地に平成3年4月に設立、全国のクライアントから送信されてくるデータの出力・加工・発送業務までを一貫して請け負う。超大型出力に加え、充実した加工設備で他社との差別化を図ったことが成長の背景にある。
 山林氏は、「IJ出力の後加工を外注している同業者も多いが、それでは時間とコストがかかるし、商品にキズがつくなどのトラブルが発生した場合、責任の所在など不安要素も多い。当社では完全一貫で生産を行なっているため、その点でも安心して頂ける」と話す。
 そして同社は今や、大型ターポリン出力・加工の分野では専門特化企業としての地位を確立していると言える。今年2月には、テレビ番組の「所さんの学校では教えてくれないそこんトコロ」でも紹介された。
 主な設備は、5m幅の超大型IJプリンタがUV硬化系と溶剤系の計2台、ミドルクラスのエコソル系IJプリンタ8台を保有。山林氏は、「ターポリンは屋外耐候性が強く、横断幕や懸垂幕をはじめ、画像を多用したバナータペストリーなどさまざまな販促ツールに展開が可能」と話しており、使用用途の幅の広いターポリンを用いた様々な印刷会社のSPツールの展開に期待する。
 また、「超大型」と並んで同社が自社の強みとする加工設備には、約650平方メートルの加工フロアーに、オートカットマシン(コングスバーグ社製) 、大型対応工業用ミシン5台、ハイブリッドウエルダー1台、高周波ウエルダー1台、10m自走式ウエルダー1台、熱板式大型連続溶着機1台、自動ハトメ打機3台、高速ラミネーター1台などがある。

国内数台の「UV硬化型」超大型IJプリンタを保有

 同社では、同社の豊富な設備を活用した印刷会社の様々なSPツールの展開を期待しているが、最も期待するのは「用紙」にも出力可能なUV硬化型の超大型IJプリンタ「HP SCITEX XP5100(ヒューレット・パッカード)」による新たな印刷需要創出である。
 一昨年12月に導入した、この超大型IJプリンタ「HP SCITEX XP5100」は、最大5メートル幅×長さ50メートルにまで対応する国内屈指の超大型プリンタ。出力解像度は720dpi。山林氏によると、いまだ国内で数台しか保有企業はなく、さらに3.2m幅の紙に出力可能であるため、超巨大ポスターなど印刷会社にとってもアイデアをカタチにできるIJプリンタとしての利用価値は大きいと言える。
 UV硬化型顔料インクを用いているため、UVランプによりインキを瞬時に固めることができるのが大きな特長。従来の溶剤型IJプリンタでは出力後、1日がかりで乾燥していたが、即座に硬化してすぐに次の加工に移れるため、大幅な生産性向上につながっている。
 山林氏は、「出力スピードについても溶剤系では1時間25平方メートル程度しか出力できなかったが、UV硬化型は80~100平方メートルの出力が可能である。出力後の加工が多い当社にとっては、納期面で大幅な短縮が図れている。また、加工部門がインキの乾きを気にせずに作業できるため、社内的な利点も大きい」とその効果を話している。

 同社にIJプリンタによる出力加工を依頼する場合、完全データ支給すれば、ターポリンや用紙をはじめ幅広い素材に1枚から出力・加工を行なうことが可能。大型以外ももちろん出力は可能であるが、「チラシを巨大化した天吊りバナーなど既存印刷受注に連動したプラスαの提案が可能になる」(山林氏)。同社の設備を活用すれば、SPツールのラインナップの幅が広がることはもちろん、アイデア次第では新たな印刷需要創出にもつながるはずである。
【問い合わせ】電話042-977-1982