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躍進企業REPORT

菁文堂:コダックSword Ecoソリューションの実力を実証

印刷ジャーナル 2008年6月15日
竹内克夫専務
Sword Ecoソリューション

 コダック グラフィック コミュニケーションズ(株)が5月に発売した「Kodak Sword Eco(ソード エコ)ソリューション」のテストユーザーとして、昨年4月からその運用を通じて様々な検証を行なってきた菁文堂(株)(本社/東京都台東区小島1-12-9、竹内正和社長)。「手帳の一貫生産」を特徴とする同社にもたらした環境・メンテナンス性・品質が如何に効率化に繋がり、さらには利益改善に繋がるか...。同社の「証言」を取材した。

 菁文堂の創業は明治42年。手帳・ノートの製造業を手掛ける「竹内製本所」として産声をあげる。その社名の通り、もともとは製本業として社歴を重ねてきた同社だが、昭和34年の印刷部門設立以来、事業拡大の方向性を「手帳の一貫生産」と定め、現在ではプリプレス部門も充実した手帳製造の総合メーカーとして大きな成長を遂げている。「当時、製本会社で印刷部門を持つということは、ある意味『冒険』だった。しかし、先代が決断したこの冒険が、現在最も当社が『強み』とする『一貫生産体制』へと繋がっている」と竹内克夫専務取締役は当時を振り返る。
 手帳・ダイアリーにおける製版~印刷~製本の一貫生産を最大の強みとする同社だが、唯一外注に依存していたのが刷版部門。その外注先の生産能力は日産40版が限度で、その内製化は同社にとって必須項目となっていた。そうなるとプリプレス部門の充実した同社では、当然CTP導入が視野に入ってくる。
 すでにイメージセッターが稼働していたことからワークフローシステムは構築済みだった。しかし新たな視点で自社に最もマッチした、そして最もコストパフォーマンスの高いシステムの選択にこだわるため、3社のシステムを候補としてそれぞれ検証を重ねた。そこで同社が出した答えは、コダックの「プリナジーワークフローシステム」+「マグナス800クオンタム(四六全判対応)」+「P-1310Xプレートプロセッサー」だった。埼玉県越谷市の工場に導入したのは、一昨年11月のことである。
 機種選択を決定づけたポイントについて、竹内専務は、「プリナジーのパフォーマンス」「カラーマネージメントのサポート体制」「FMスクリーニングにおける設備投資の敷居の低さ」という3点を挙げている。
 プリナジーのパフォーマンスについては、とくにVPS(バーチャル プルーフィング システム)機能を挙げている。同社が主力とする手帳は罫線が多いことから、表裏の見当精度が重要なポイント。プリナジーのVPS機能は、面付けしたデータを画面上で重ね合わせ、出力しなくても刷版上の表裏の見当を確認できる。
 また、年玉(ねんぎょく)品と呼ばれる企業などが配布する手帳の需要が減少傾向にあることから、キャラクター品のコスト競争がますます激化している。そこで同社では、差別化戦略の軸足を「印刷品質」に置き、その手段としてのFMスクリーニングの優位性に着目。しかし、他社メーカーはインキの着肉性の問題から印刷機に恒温装置が必要であるとしていた。一方、コダックではFMスクリーニングへの取り組みにおいて、恒温装置という設備投資が不要であったというのも一つのポイントであった。

 同社がSword Ecoソリューションのテストユーザーを引き受けたのは昨年4月。CTP導入からおよそ4ヶ月後にテストユーザーを引き受けた理由について竹内専務は「社内における刷版に対する意識付け」と説明する。「手帳の多くは罫線と文字の世界。そのため、刷版への関心は余り高くなかった。それまで使用していたコダックのプレート(TP-W)には満足していたが、全社員が刷版に関する意識を高め、勉強するきっかけになればと考えた」
 Sword Ecoソリューションは、サーマルテクノロジーを牽引してきたコダックが、日本のニーズに対応して開発した環境配慮型のCTPソリューションで、新たに開発された高品質・高耐刷を備えたサーマル CTPプレート「Sword J サーマルプレート」、低アルカリが実現する高い安定性を誇るSWシリーズの現像処理薬品、廃液の削減やメンテナンスの手間を削減した新自動現像機「P-940Xプレートプロセッサー」(最大処理幅940ミリ)と「P-1310Xプレートプロセッサー」(最大処理幅1310ミリ)から構成される。
 Sword Jサーマルプレートは、欧米で高い評価を受けているSwordシリーズのプレートに使われているテクノロジーをベースに、とくに日本のユーザーの高いニーズである環境への配慮とFMスクリーニング適性に重点を置いて、コダック グラフィック コミュニケーションズが国内の研究開発部門で開発・製品化したもの。印刷業界では、環境保護への取り組みとして、プレートにも高い関心が寄せられているが、Sword Ecoソリューションは、優れた環境やメンテナンス性をもたらすだけでなく、品質面での差別化ツールとして豊富な実績があるFMスクリーニング「Staccato」に最適なシステムとして、CTPソリューションの有力な選択肢となる。

 実際の運用の中で検証された同ソリューションは、環境・メンテナンス性・品質において良好な数字を弾き出している。
<環境>
 新開発の低アルカリ性の現像液を採用した、空気酸化に極めて強い現像システムであるため、廃液量を大幅に削減すると共に、ランニングコスト削減にも大きく貢献している。また「特別管理産業廃棄物」に該当しないため、産廃法の特別管理が不要。竹内専務は、「グリーンプリンティング(GP)認定工場に指定されている当社にとって魅力的なソリューション」と評価する。
<メンテナンス性>
 現像液だけでなく、リンス・フィニッシャーまですべてを含めたシステムとして、コダックが示すメンテナンス間隔は3ヶ月間または1万5,000平米のプレート処理となっているが、同社のこれまでの運用ではメンテナンス間隔は半年で良いことが実証された。「年末年始の9日間、ゴールデンウィークの10日間は作業をストップしていたが、薬品を交換しなくても休み明けに何の問題もなく作業を再開できた。メンテナンス自体も、自動現像機の現像槽、水洗槽、ローラーへのスラッジの付着がなく容易である」と評価している。
<品質>
 シャープな網点のエッジが得られ、刷り出しから刷了まで安定した網点品質を維持。とくにインキ着肉性による印刷の立ち上がりの早さを高く評価しており、損紙削減の効果も明らかに表れているという。

 同社の今後の事業拡大に向けて「Kodak Sword Eco ソリューション」に対する期待は大きい。