PJweb news

印刷産業のトレンドを捉える印刷業界専門紙【印刷ジャーナル】のニュース配信サイト:PJ web news|印刷時報株式会社

トップ > 躍進企業REPORT > 「販促応援センター」で印刷会社を支援
躍進企業REPORT

ニューモアカラー:「販促応援センター」で印刷会社を支援

印刷ジャーナル 2008年1月1日
東京支店外観
大阪本社ショールーム
東京支店内展示コーナー

 印刷の下請けとしての製版業だけでは生き残りが難しい昨今、多くの製版会社が企画・デザイン部門の創設やオフセット印刷機の導入、近年ではデジタル印刷機の導入など、様々な方法で業態変革の道を模索している。そんな中、24時間稼働の製版工場として、印刷会社の事業を強力にバックアップしてきた(株)ニューモアカラー(大阪市中央区船越町2-2-10、福井眞寿男社長)では、本業である製版の特色を生かしながら、顧客である印刷会社の差別化・競争力強化に貢献するユニークな事業展開を進めている。昨年7月、大阪本社ならびに東京支店にオープンさせた「販促応援センター」を中心に展開されている新たな事業戦略について、現場の責任者から話を伺った。

 「販促応援センター」は、 大阪本社内に開設された販促ツールのショールームと、東京支店を新たにリニューアルして生まれた「販促ツールショップ」の2拠点から構成される新事業。従来の企画・提案などによる営業展開は、ユーザーの立場からすればカタチが見えにくいという弱点があったが、「お客様がサービスをイメージしやすい」ことを念頭に、あえて「販促」という分野に事業を特化させているのが大きな特徴。また、印刷会社のサポーターとしての事業目的を重視する考えから、同社では製版から印刷へという単純な業態変革の流れを選択せず、印刷会社の競争力強化に貢献できる事業にこだわったことも、「販促」に特化した理由のひとつだという。
 販促応援センターを率いるのは、同社営業本部長兼東京支店長として東西の両拠点を指揮し、また代表取締役として経営の第一線にも立つ砂田正則氏。同センターの狙いについて砂田氏は次のように語る。
 「これからは付加価値のある、あるいはひと味違った印刷商品を生まないと生き残っていけない。その意味では、製版会社だけでなく印刷会社様も厳しい競争の中にあるといえる。当センターはそういう新たな競争力のある商材を提案していく事業部。3Dパネルやプリントウェアなど、あえて印刷とは違う分野の商材を手がけることで印刷会社様の営業力拡大に貢献している。また、色校正用に導入した菊半裁判4色印刷機を活用して小ロットの印刷を行なったり、さらにオンデマンド印刷機の導入による対応など、印刷会社様では手間暇が掛かって扱いにくい極小ロット業務も積極的に引き受けている。当社の最大の強みは、24時間フル稼働の生産力と、ジャンルの枠を超えて様々なニーズに対応する対応力。その強みをさらに生かして、印刷会社様にとって『あると便利』なセンターを目指している。どんなことでも気軽に相談していただきたい」

東京支店の事業実績を元に新事業展開へ

 同社が販促応援センターをオープンさせた背景には、同社「東京支店」で培った様々な事業実績があるという。同社は関西経済の低迷がまだまだ深刻であった平成16年6月に東京支店を開設し、本格的な販路拡大の取り組みをスタート。それ以前からも一部の顧客の仕事を中心に東京での営業を行なってきたが、東西の市場格差が広がる中、新しい販路を拓くためには東京の事業を本格化させることが不可欠と判断したことによる進出だった。同支店ではDTPをはじめとする生産設備のほか、より多彩なニーズにも対応できるよう、同社にとっては初めてとなるオンデマンド印刷機も導入したが、大阪本社とは異なる最大の特徴は「プリントショップ」としてのスタイルを備えたことにある。印刷会社の製版拠点として、また小ロット印刷のニーズにも対応する一方、近隣の企業にも気軽に利用される印刷・販促ツールショップとして積極的な取り組みを進め成功を収めてきた。
 同支店の開設当時から支店長として陣頭に立ってきた砂田氏は、「何でもいいから仕事をくれというところからのスタートだった」と当時を振り返るが、同社の最大の武器である対応力の高さと「チャンスをくれた顧客には誠心誠意を尽くす」という業務姿勢は、大阪の顧客と同様に東京でも快く受け入れられたようで、「現在は近隣に存在を知らしめるまでになった」(砂田氏)と、この3年間の成長ぶりを話す。大阪出身の製版会社が東京進出で成功に至るのは容易なことではないが、積極的な新規開拓と近隣企業へのキャンペーン戦略の積み重ねが成功につながったという。
 そして、この東京での戦略実績を大阪本社にも広げ、全社レベルでの新たな事業として誕生したのが「販促応援センター」である。一昨年の末頃から事業戦略の構築に取り組み、昨年7月に大阪本社の3階を改装してショールームとしてオープン、同時に東京支店も同センターのツールショップとしてリニューアル。同社にとっての「製版プラスα」として始まったこの事業は、顧客である印刷会社に「印刷プラスα」を提案する「印刷会社のサポーター」として新たな展開を進めている。

柔軟な経営姿勢が高いモチベーションを生む

 同社のこのような積極的な事業展開の背景には、独特の経営姿勢と自由な社風があるという。販促応援センター大阪店の運営担当者である開発課の齊藤厚志課長は、「当社では、会社からの業務命令で新規事業を立ち上げたことはない。すべては各部門の問題意識から生まれたもの」と説明する。「当社の福井社長は『良いと思ったことはどんどんやれ』という方針。その自由奔放な社風が当社のモチベーションの原動力であり、これが他社に真似のできない当社最大の武器である」と言い切る。この業務姿勢は社員全般に浸透しており、同業者から「貴社のモチベーションの高さはどこから来るのか」と質問を受けるほどだとか。
 昨年、創業25周年を迎え、新事業への意欲をますます高めている同社の今後について、砂田氏は、「製版と販促の両輪でさらなる戦略を進め、印刷会社様のサポーターとして全力を注いでいく」と語ってくれた。