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躍進企業REPORT

ダイム:和製JDFでCIP4国際印刷製造革新賞(CIPPIアワード)受賞

印刷ジャーナル 2007年11月15日
井元敏行氏

 プリプレス・プレス・ポストプレスの工程統合管理のための国際標準化団体であるCIP4はIGAS2007で、2007年ユルゲン・シューンハット記念CIP4国際印刷製造革新賞(CIPPIアワード)3部門の受賞者を発表。日本企業2社がその栄誉に輝いた。そのうちの1社である(株)ダイム(大阪府吹田市、安平健一社長)は、「和製JDFインターフェース」を統合し、同社のコア技術である製版工程をJDFに巧くはめ込むことで自動化を促進した点が評価され、「プロセス自動化技術を最も革新的に活用した事例」部門の2位に選ばれている。

 CIPPIアワードとは、CIP4とその前進であるCIP3コンソーシアムの両方の創設に貢献し、CIP4の設立メンバーでもあったドイツ・フラウンホーファー研究所の故ユルゲン・シェーンハット氏にちなんで命名されたもの。3部門において最も画期的な事例を収めた応募者に毎年授与されている。
 「プロセス自動化技術を最も革新的に活用した事例」部門の2位に選ばれた(株)ダイムは、製版技術を核とした印刷会社向けサービスを展開する技術集団。同社では今年1月、「印刷会社が安心して利用できる製版・印刷工場としての機能強化」を目指し、製版工場と印刷工場の統合を図るとともに本社を移転。これを機に、以前から検討してきた製版システムの大幅な拡充と菊全7色機を増設し、高精細印刷や広色域印刷など、同社の真骨頂であるファインイメージングソリューションを引っ提げ、印刷会社とのパートナーシップの強化を図っている。
 製版専業だった同社が、はじめて印刷機を導入したのは2004年。翌年には、工程・原価管理による事務作業の標準化を目的としてオリーブのMIS「プリントサピエンス」を導入し、JDFワークフローを構築、運用を開始している。
 JDF導入の目的について同社業務推進部プリプレスグループ担当課長の井元敏行氏は「基本的には、より早く、より安く、お客様に提供しながら、僅かながらも確実に利益を出したい。そしてスタッフには貢献度に見合った正当な評価を行ないたい。そのために、まずは採算の合わない仕事を見つけ出す仕組みとしての機能と、部門別または社員個々の生産高、効率性などを把握する、いわゆる人事評価の『ものさし』としての機能に着目した」と説明する。
 同社の目指すところは「ファクトリーオートメーション」。これまでの同社の強みは、製版技術を核とした「標準化」だと言える。JDFはさらにそれを拡張させた「全体最適化」のツールであると同時に、その先には当然、自動化が見えてくる。
 同社のJDFワークフローは、自動化プロジェクトの中心となるオリーブのMIS「プリントサピエンス」、大日本スクリーンのJDF対応生産工程管理システム「Ritecontrol」、ワークフローシステム「Trueflow」、小森コーポレーションのオープンアーキテクチャ「K-Station」を統合させた「和製JDFワークフロー」だ。
 ここでネックとなったのが、同社のコア技術である製版工程を如何にJDFにはめ込むかであった。
 例えば同社の場合、本機校正も多いことから、下版までにプレートメイキングを繰り返すことがある。しかしJDFではプレートメイキング=下版となってしまう。このように「印刷」を前提とし、さらには欧米スタイルのJDFを日本の製版中心の同社にはめ込む作業が必要であった。ここをオリーブ、大日本スクリーン、小森の3社の協力によってソフト的に改善を図ったことが、CIPPIアワード受賞の最大の評価点だったと言えるだろう。
 今後の課題について、井元氏は「JDF運用で作業側の負荷が軽減される分、その前の作業を組み立てる側の負荷が大きくなっている。ただこれは過渡期で、運用経験を重ねることで解決できるものと考えている」としている。
 「今回、同社が受賞したことで、日本の製版分野を考慮したJDFの開発、さらには普及のきっかけになれば...」(井元氏)。