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躍進企業REPORT

イシイ:「ID style office」開設、クリエイティブ部門がさらに充実

印刷ジャーナル 2007年8月5日
石井会長(右)と石井社長
新オフィスのミーティングルーム

 大阪・中央区に本社を構えるイシイ(株)(石井和貴社長)ではこのほど、クリエイティブ部門が移転、「ID style office」として企画デザインからスタジオ部門などを一層充実させてオープンした。多年にわたり文字と画像処理技術を育んできた同社では、2年前にそうした技術を強みとしてオフ輪並びに枚葉機、後加工から配送までの大阪工場(堺市)を建設して改革・拡大戦略を展開しており、今回の部門移転は、そうした改革路線の延長線で行なわれたもので、大型スタジオ設置をはじめとするこの部門の充実によってクロスメディアをワンストップサービスでプロデュースしていく。また、多様化する情報社会とデジタル化の中においてネットビジネスへの参入など、益々進展するネット社会も視野に入れて企画立案・デザイン・写真撮影から印刷、配送までに至る、文字通りの総合メディアソリューション企業としての体質を強化させる。


 オープンした「ID style office」は、中央区松屋町筋に面したビルの1・2階、約825平方メートルのスペースに、連絡やコミュニケーションに際しての利便性、部門が交差する際のトラブル防止といった点を配慮し、各フロア全てをオーブンにした明るい室内設計が施されている。
 同社の創業は1966年のこと。写真植字業(イシヰ)として起業したことに社歴は始まる。
 72年に法人化とともに現社名に変更。その後カラー画像処理を中心とする製版業へ転換したのが78年のことである。そしてDTP、デジタル化へいち早く対応し、99年には印刷事業部を設置、翌2000年に「(株)イシイプリンティング」を設立するなど、常に変化への対応を図ってきた歴史がある。
 05年には、この印刷の拠点として大阪・堺市に大阪工場を建設して事業拡大の実績を上げているが、現在大阪工場では、3台のオフセット輪転機に枚葉印刷機3台がフル稼動状態にあり、最近では中綴じ製本機を増設した他、シュリンクマシン、4トントラックの増設など、流通部門でも体制を強化させ、経営の中核を担う大阪本社と、同社の生産デリバリーの拠点となる大阪工場、そして東京・千代田区の地の利を活かす東京事業部での品質ネットワーク環境を整え「企画から印刷、配送」に至る一貫体制を確立させている。

 このようにして時代の変遷とともに常に変化に対応してきたイシイ(株)。40年前に写植という「文字のプロ」として創業した同社が、文字・画像統合処理加工システム「IEPS」を開発し、業界に先駆けて、いち早く「フルデジタルワークフロー」を確立させたのも、そうした変化への対応に他ならない。
 常に市場を意識しながら、新しいソリューションを提供しつづけてきた同社が実施した今回のクリエイティブ部門の充実も、そうした変化に対応する姿勢の一環であり、多年に亘って培ってきた文字と画像処理技術、さらにCMS推進の理念に、環境を変化させることによって、モノづくりにかける社員の熱意の向上、感性、創造力を尚一層高めて、お客の要望に応えていこうというもの。
 今回の「ID style office」開設に際して石井洋介会長は「会社として常に質の向上と量の拡大を追い求める必要がある。その意味で大阪工場を建設して2年が経過した。技術環境を捉えながら、質と量への対応は確立したものの、正直言って"デジタル印刷"という枠組みの中で見た場合、その活躍する場所、ターゲットが今ひとつ絞り込めていなかった感も実のところある。そこで今回のオフィス開設となったわけだが、印刷の前工程、つまり企画・デザイン、写真撮影、情報の処理と管理、色の管理面などを徹底して強化させることによって工程の流れはスムーズになり、ハイレベルな品質をタイムリーに提供することが一層容易になると思う。我々の強みは実績つんできた文字と色へのこだわりである。その技術を活かす質と量への対応は終えた。そこで今後がどう在るべきか。企業の最大の力は人であり教育にも力を注いできた。環境を変化させることによって人の感性、創作意欲の向上は期待できる」と、クリエイティブ部門における社員のスキルアップによる得意先への貢献度を高めるべく2007年7月31日オープンさせた。
 このクリエイティブ部門を含めた大阪本社と大阪工場、そして東京事業部が、がっちり組んだ三位一体での「品質ネットワーク」を更に強化させていく上で今回の新オフィス開設は大きな目的を持ち、また役割を担うことになる。
 本年4月には若手を役員に登用するなどして、環境変化へのチャレンジが進められてきた。新オフィス開設の裏で現在(取材時)、旧社屋の取り壊しが行なわれているが、この過程では既存設備の廃棄処分もあったわけだ。アナログからデジタルへと移り変わった時代を多年に亘って生き抜いてきた石井会長にすれば、長年の使用に耐えた機器や事務所にも愛着があり、取り壊しや廃棄処分には複雑な心境は隠しきれない様子。「多少の不安はあったが、将来展望上に断行した」と、苦笑しながらこう語るも、夢は大きく膨らみを見せており、「イシイにしか無いもの。イシイにしか出来ないもの」、その構築が石井会長の狙いでもあるようだ。
 今後の方向性の一つとして8月には楽天ビジネスへの出展、また、秋には印刷通販サイトもサービスを開始する予定で、ネット社会も視野に入れながら質と量を追求する大阪工場、大型スタジオを有する企画デザイン部門の充実という今回の新オフィス開設など、ここ2年間でハード・ソフトの両輪体制の変革・強化を推し進めてきた。
 社会構造の変化に伴い、コミュニケーション形態も多様化、情報の質や形も変化するとして同社は今、企画立案から印刷、後加工に配送まで、文字通り総合メディァソリューション企業として「ワンストップサービス」を、ハイクォリティ、ハイスピード、そしてローコストで市場ニーズに応えていくということだ。