2008年2月14日
リョービ(株)(吉川進社長)と東洋インキ製造(株)(佐久間国雄社長)は共同で、省エネルギーで環境負荷が少ない次世代の「LED-UV印刷システム」を開発した。UV波長を発生させる産業用LED-UV照射システムを松下電工(株)から供給を受け、東洋インキ製造が開発したLED用UVインキを使用して、リョービが世界で初めてオフセット印刷機での開発に成功した。
同システムのUV(紫外線)硬化には従来のランプ方式に替わって、長寿命、低消費電力のLED方式を採用しており、環境負荷の低減が課題となっている印刷業界において、次世代のUV印刷システムとして期待されている。
現在、オフセットUV印刷機は、シールラベル、パッケージなどで用途が広がっており、さらに印刷物の高付加価値を追求するフィルムや蒸着紙等の非吸収原反に対する印刷需要の高まりや短納期への要望とともに世界的に市場が拡大している。
一方、UVインキは無溶剤(VOCゼロ)であること、その乾燥工程において熱風ドライヤーを使用せずに瞬間乾燥させることが可能なことから、直接CO2を発生しない環境にやさしい印刷システムとしての評価も高まっている。
今回発表した世界初のLED-UV印刷システムは、菊四截寸延び高速オフセット印刷機「RYOBI525GX」に、低消費電力のLED-UV乾燥装置と専用のUVインキを組み合わせることで、UV印刷における環境負荷の軽減をさらに図ったもの。従来のランプ方式に比較して次のようなメリットを持つ。
▽消費電力が70~80%少なくてすみ、電気代が削減できる(CO2換算で約25トン/年、森林面積で約1.9ha/年の環境負荷の軽減に相当)
▽光源が長寿命で交換頻度を大幅に減らすことができる(対ランプ方式比較12倍)。
▽オゾン発生がなく、環境にやさしい。また、換気のためのダクト工事が不要。
▽赤外線を含まないので印刷資材(特にフィルム)や印刷機への熱影響が抑えられる。
▽瞬時に点灯、消灯でき、乾燥装置に依存する待ち時間が発生しない。
▽用紙幅に合わせた照射幅の制御が可能で、LEDの効果的な運用が行なえる。
▽LED直下でも常温を維持しており、安全性が高い。
▽コンパクトな制御キャビネットで省スペース設置が図れる。
リョービでは、稼動時間がより多く、さらに消費電力の削減が見込めるB2判オフセット印刷機「RYOBI750」シリーズなどへの開発展開も視野に入れており、地球温暖化対策の新たな取り組みのひとつとして、国内・海外の印刷業界へ提案していく。