2009年1月27日
植物油インキマーク
印刷インキ工業連合会(小江紘一会長)は、植物油インキ(Vegetable oil ink)の定義及び、その準拠マークを制定した。
大豆油インキの商標登録の期限が2011年に切れるが米国の大豆油業界が引き続き延長する意向が明確でないことから同連合会では、それに変わる基準及びマークを制定する必要があると判断し、昨年より技術委員会を中心に植物油インキの定義等について検討を開始してきた。
環境対応型インキの代名詞として広く認知されている「大豆油インキ」は、日本において1990年代半ばから普及し始め現在では、印刷産業の環境対応型インキ製品として広く市場に浸透している。しかし昨今の地球温暖化に伴う異常気象等の影響で各地の穀物凶作の発生や化石燃料の代替としてバイオ燃料の需要が拡大し、大豆をはじめとした穀物価格が高騰してきている状況下で、食料である大豆を原料とする大豆油に限定して環境対応型インキの原料とすることは望ましいこととはいえず、一般的に非食用とされる他の植物油を採用することが重要となっている。
そのため同連合会では、大豆油に限定せず、広く各種植物油を調達することで原材料の安定供給の意味からも重要であると判断。また石油系溶剤(鉱油)に比べて生分解性があり、VOCの排出もほとんどなく環境負荷を抑えるのは、大豆油に限らず他の植物油も同様であることから今後も環境対応型インキの安定供給を続けるために、今回「植物油インキ」の定義およびその準拠マークの使用基準を設定することとなった。
なお製品への表示は、2月1日より順次開始となる。また印刷物への準拠マークの使用についても同連合会に申請し、かつガイドラインに準じた表示が可能となっている。
同連合会では今後、印刷関連団体を中心に広く植物油インキの認知・普及に努めていく方針とのこと。
◆植物油の定義
再生産可能な大豆油、亜麻仁油(あまにゆ)、桐油(きりゆ)、ヤシ油、パーム油等植物由来の油、及びそれらを主体とした廃食用油等をリサイクルした再生油である。
◆植物油インキの定義
インキ中に含有する植物油、または植物油を原料としたエステル※との合計が、含有基準量以上のインキである。
※植物油アルキッドについては、油長(植物油成分含有量)とする。
◆インキ中の植物油含有基準量
▽新聞オフ輪インキ...30%以上
▽ノンヒートオフ輪インキ...30%以上
▽枚葉インキ...20%以上(但し、金、銀、パール、白インキ...10%以上)
▽ビジネスフォームインキ...20%以上
▽ヒートセットオフ輪インキ...7%以上
▽各種UVインキ...7%以上
▽フレキソインキ...植物由来のタンパク3%以上