2008年2月13日
2月に入って相次いで発覚した環境対応型インキの基準未達問題を受け、印刷インキ工業連合会(小江紘司会長)は2月12日、(社)日本印刷産業連合会(山口政廣会長)に対し、調査結果をまとめた報告書を提出した。これによると、調査対象60社のうち、ソイシールまたはエコマーク貼付製品を出荷しているのは 28社で、基準未達製品があったのは14社。とくにソイシールでは、新聞インキにおいて貼付出荷量に対する基準未達製品の出荷量の比率が51.8%に及んでいる。これらインキメーカー各社では、基準未達インキの在庫品の回収、またはマークの排除、他用途への転用などの方策を検討していく他、再発防止への体制構築に努力するとしている。
環境対応型インキの基準未達問題は、インキメーカー数社が、再生紙の古紙配合率問題などの発生を受けた社内調査で、アメリカ大豆油協会認定の「ソイシール」や(財)日本環境協会認定の「エコマーク」を添付した印刷インキの一部に、基準を満たしていない製品があったと発表したことで明らかにあったもの。当該インキメーカー各社では、基準を満たしていない製品について直ちに出荷を停止し、現在ユーザーに事情説明と謝罪を行なっている。
これを受け、印刷インキ工業連合会は、2月4~7日にかけて、印刷インキ工業会および印刷インキワニス工業会の会員60社を対象に、オフセットインキ、新聞インキ、それ以外の包装紙や段ボール等の印刷用インキの3品目について、それぞれソイシール、エコマーク添付製品の出荷量と、その基準を満たしていないインキの出荷量について調査した(回答率100%、出荷量は平成19年の月平均)。
報告書によると、ソイシールまたはエコマーク貼付製品を出荷しているメーカーは28社で、うち基準未達製品があったと回答したのは14社。ソイシールのみが6社、エコマークのみが1社で、いずれにおいても基準未達製品があったのは7社となっている。
ソイシールでは、貼付出荷量に対する基準未達インキの出荷量の比率は全品目で3.8%。とくに月平均311トンのソイシール貼付製品が出荷されていた新聞インキでは、基準未達製品が161トンの51.8%に及んでいる。
一方、エコマークでは、貼付出荷量に対する基準未達インキの出荷量の比率は全品目で1.0%。ソイシール同様、最も基準未達製品の割合が高かった新聞インキでは3.4%。
これら環境対応型インキの基準未達問題発生の原因について、印刷インキ工業連合会は「当初、設定された製品は、ソイシール、エコマークの基準値を満たしていたと思われるが、一部のユーザーにおいては、乾燥性や流動性等の問題が発生し、その解決策として印刷条件や品質条件に合わせた改良を重ねてきた。その過程で環境基準遵守の認識が希薄になり、当該基準値を外れた製品になったことに気付かなかったことが主たる原因」と説明している。
今後の各社の対応については、基準を満たさない製品の出荷先であるユーザーとともに、不適合インキの在庫品の回収、またはマークの排除、他用途への転用など、資源の無駄とならない方策を検討していく他、問題発生の原因を直ちに究明し、社内体制の改善・見直しを図ってチェック機能の強化、再発防止への体制を構築するとともに、全社員に対して基準遵守の意識を高めるべく周知徹底していくとしている。
一方、連合会としては、「折に触れて法令遵守に関する啓発活動を積極的に展開し、会員各社にアピールしていく」としている。