2012年5月15日
一時、予約が2〜3日先まで満席の状態となったベニー・ランダ氏のプレゼンテーション
Landa S7 Nanographic Printing Press
今回のdrupaで最大の注目を集めているのが、ランダ社のNanographic Printing Processだ。同技術においては、drupa会期直前から小森コーポレーション、ハイデルベルグ、マンローランド・シートフェッドといった主要オフセット印刷機メーカーとの提携が相次いで発表され、大きな話題となっている。また、この技術を採用した6機種のデジタル印刷機が同時発表され、Indigoの生みの親で「デジタル印刷の父」として知られる同社代表のベニー・ランダ氏が自ら行うプレゼンテーションは、一時、予約が2〜3日先まで満席の状態になるなど、大きな関心が寄せられた。
Nanographic Printing Processの中核をなすのは、わずか数十ナノサイズの顔料粒子であるLanda NanoInkだ。強力な光の吸収体で、均一でシャープなドット、高光沢忠実度、広いCMYK色域を特徴としている。
このNanographic Printing Processは、一言で表現するとインクジェット技術とIndigoのデジタルオフセット機構を融合させたようなもの。NanoInk各色は、インクジェット方式によって、紙などの被印刷媒体ではなく、熱をもったブランケットコンベヤーベルト上に吐出されて色画像を形成。描画されたイメージは、インクの水分が蒸発することで極薄のインク膜(オフセット画像のインク膜厚の半分である500ナノメートル)となり、被印刷媒体に転写される。
高い耐磨耗性や耐スクラッチ性を持つだけでなく、コート紙、非コート紙からリサイクルされた厚紙までの幅広い用紙に対応。新聞印刷からプラスチックパッケージフィルム印刷まで、いかなる事前処理やコーティングも不要、かつ印刷後の乾燥も必要としない。
発表された6機種のデジタル印刷機は、枚葉タイプ3台と輪転タイプ3台。4色対応のW50を除いて最大8色印刷に対応する。
【枚葉機】
▽Landa S5 Nanographic Printing Press(商業印刷用)
B3(20インチ)、最高印刷速度11,000枚/時、片面・両面
▽Landa S7 Nanographic Printing Press(商業・出版印刷用)
B2(29インチ)、最高印刷速度12,000枚/時、片面・両面
▽Landa S10 Nanographic Printing Press(商業・パッケージ用)
B1(41インチ)、最高印刷速度13,000枚/時、片面・両面
【輪転機】
▽Landa W5 Nanographic Printing Press(ラベル・パッケージ用)
560ミリ(22インチ)幅、最高200m/分、片面
▽Landa W10 Nanographic Printing Press(パッケージ用)
1,020ミリ(40インチ)幅、最高200m/分、片面
▽Landa W50 Nanographic Printing Press(DM・トランスプロモ、出版印刷用)
560ミリ(22インチ)幅、最高200m/分、両面
写真を見ても分かるように、ユニークなグラフィックユーザーインターフェースも特徴のひとつだ。強烈なインパクトのある特大のLanda Touchscreenは、右側が主にジョブ管理、左側が主にマシンの状態を表示する部分になっている。
また、オペレーターが機械から離れると、表示はVital Signs Modeに変わり、50メートル離れたところからも簡単に読める大きなフォントで指標は示され、さらにタッチスクリーン・タブレットによって、全ユーザーインタフェースを表示することもできる。
→drupa2012レポート 一覧へ