2009年9月30日
環境保護印刷推進協議会(以下E3PA、松浦豊会長)は9月18日、東京・水道橋の庭のホテルにおいて記者懇談会を開催し、環境保護印刷マーク認証ステータスの新「認証登録基準」に関する発表を行なった。
同協議会では、設立から5年が経過した現在、社会の環境ニーズが設立時より、さらに高まってきたことを考慮し、より環境対策のレベルアップを図っていくことを目的に今回、新基準を策定することとなった。新基準では、全体的に対応基準の高度化を図っているほか、最高位ステータスの「GOLDプラス」については、これまで審査項目として「スクリーニング」のみとなっていたが、新基準からは「刷版」、「湿し水」(枚葉のみ)が新たに加わった。なお新基準における「GOLDプラス」の認証取得は、「スクリーニング」及び、今回、追加された審査項目のいずれか一つを満たしていれば可能となる。
さらに新基準の「GOLD」の審査項目には、これまで課題とされていた「ローラー/ブランケット・洗浄剤」を新たに追加している。なお同項目の基準には、「引火点60℃以上」と設定されているが、国内メーカーでは、この基準に達する製品が現在、存在していないため、当面は海外製品での対応となる。
新基準への移行は、2010年4月1日で、現在「クリオネマーク」を取得している企業の新基準への移行については、さらに1年(2011年度)の猶予期間を設けていく予定。なお同協議会では、今回の新基準策定に伴い、現在、登録されている各種対応製品の再調査を実施していく。
また新基準策定に伴い、ステータスシンボルとして定着している「クリオネマーク」についても一部変更を実施。具体的には、マークデザインに記されている「nonVOC nonDRAIN」の表記を「cleanAir clearWater」に改め、CO2削減等を含め、近年問題となっている環境に関するさまざまな課題に幅広く対応していく指針をアピールしていく。
今回の新基準の策定について松浦会長は「設立から5年が経過し、環境保全に関する社会的にニーズもさらに厳しいものになってきた。そこで当協議会としても、よりハードルを高く設定した基準を設け、年々高まる環境問題への対応を図っていかなければならない」と述べたうえで、今回より追加された「ローラー/ ブランケット・洗浄剤」の「引火点60℃以上」とい項目について、国内メーカーの協力と、迅速な対応製品供給を呼びかけた。
なおE3PAの2009年9月10日現在の会員数は、正会員121社、協賛会員42社、准会員11社となっている。
【オフセット枚葉印刷方式・オフセットUV印刷方式 新旧比較】
◆SILVER
◎刷版
現行基準=刷版処理液に含まれるVOCが1%未満。
新基準案=CTPプレートを使用する。
◎湿し水
現行基準=印刷湿し水に含まれるIPAが5%未満。
新基準案=IPAを使用しない。
◎インキ
現行基準=インキに含まれる植物油含有率20%以上
新基準案=NLマークを表示している植物油含有率20%以上のインキを使用する。
◎廃液処理
現行基準=刷版処理液・湿し水の廃液を回収、焼却。
新基準案=現像廃液、湿し水廃液、洗浄廃液など、刷版・印刷工程で発生する全ての廃液を適切に処理する。
◆GOLD
◎刷版
現行基準=刷版現像液を使用しない。
新基準案=刷版でアルカリ現像液を使用しない(ケミカルレスCTPプレートを使用する)。
◎湿し水
現行基準=印刷湿し水にIPAを使用しない。
新基準案=IPAを使用しない。かつ湿し水添加剤に鉱物油由来のアルコール類を3%以下で使用する。
◎湿し水ろ過装置
現行基準=湿し水ろ過装置を使用して廃液量を削減。
新基準案=湿し水ろ過装置を設置して、湿し水の交換回数(廃液排出回数)を年3回以下にする。
◎インキ
現行基準=インキに含まれる揮発性の有機溶剤が1%未満。
新基準案=NLマークを表示している石油系溶剤含有率1%未満のインキ(ノンVOCインキを使用する)。
◎ローラー/ブランケット・洗浄剤(新たに制定)
新基準案=以下を満たす洗浄剤を使用する。
PRTR法非該当/安衛法有機則非該当/芳香族成分1%未満(アロマフリー)/引火点60℃以上
◎廃液処理
現行基準=刷版処理液の廃液がない。湿し水の廃液は回収、焼却。
新基準案=現像廃液、湿し水廃液、洗浄廃液など、刷版・印刷工程で発生する全ての廃液を適切に回収・処理する。
GOLDプラス(ゴールド達成に加えて、以下の基準を満たすもの)
◎スクリーニング
現行基準=高精細印刷・FMスクリーニング等の技術を採用しインキ・湿し水の使用総量を削減する方策を講じている。
新基準案=AMスクリーニング230線以上またはFMスクリーン(25ミクロンドット以下)を使用する。
◎刷版
新基準案=刷版で処理液を使用しない(無処理CTPプレートを使用する)。
◎湿し水
新基準案=湿し水添加剤に鉱物油由来のアルコール類を使用しない。
【オフセット輪転印刷方式(ヒートセットまたはコールドセット) 新旧比較】
◆SILVER
◎刷版
現行基準=刷版処理液に含まれるVOCが1%未満。
新基準案=CTPプレートを使用する。
◎湿し水
現行基準=印刷湿し水に含まれるIPAが5%未満。
新基準案=IPAを使用しない。
◎インキ
現行基準=インキに含まれる植物油含有率7%以上
新基準案=NLマークを表示している植物油含有率7%以上のインキを使用する。
◎乾燥装置
新基準案=ヒートセットの場合、脱臭装置を設置し、大気汚染防止法に適合した排気処理をしている。
◎廃液処理
現行基準=刷版処理液・湿し水の廃液を回収、焼却。
新基準案=現像廃液、湿し水廃液、洗浄廃液など、刷版・印刷工程で発生する全ての廃液を適切に処理する。
◆GOLD
◎刷版
現行基準=刷版現像液を使用しない。
新基準案=刷版でアルカリ現像液を使用しない(ケミカルレスCTPプレートを使用する)。
◎湿し水
現行基準=印刷湿し水にIPAを使用しない。
新基準案=湿し水添加剤に鉱物油由来のアルコール類を使用しない。
◎湿し水ろ過装置
現行基準=湿し水ろ過装置を使用して廃液量を削減。
新基準案=湿し水ろ過装置を設置して、湿し水の交換回数(廃液排出回数)を年3回以下にする。
◎インキ
現行基準=インキに含まれる植物油含有率7%以上
新基準案=NLマークを表示している植物油含有率7%以上のインキを使用する。
◆乾燥装置
新基準案=ヒートセットの場合、脱臭装置を設置し、大気汚染防止法に適合した排気処理をしている。
◎ローラー/ブランケット・洗浄剤
新基準案=以下を満たす洗浄剤を使用する。
PRTR法非該当/安衛法有機則非該当/芳香族成分1%未満(アロマフリー)/引火点60℃以上
◎廃液処理
現行基準=刷版処理液の廃液がない。湿し水の廃液は回収、焼却。
新基準案=現像廃液、湿し水廃液、洗浄廃液など、刷版・印刷工程で発生する全ての廃液を適切に回収・処理する。
◆GOLDプラス(ゴールド達成に加えて、以下の基準を満たすもの)
◎スクリーニング
現行基準=高精細印刷・FMスクリーニング等の技術を採用しインキ・湿し水の使用総量を削減する方策を講じている。
新基準案=AMスクリーニング230線以上またはFMスクリーン(25ミクロンドット以下)を使用する。
◎刷版
新基準案=刷版で処理液を使用しない(無処理CTPプレートを使用する)。