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トップ > 特集 > JapanColor特集 2014:「JapanColor認証制度」4認証で基準値定める

 「仕上がった印刷物の良し悪しは顧客の視覚的判断によって決められる」。これまではそんな明確な基準がない中で印刷物が作成され、発注者、デザイナー、カメラマンなどからの色再現の要求に対し、印刷会社は度重なる修正や刷り直しを強いられてきた。そこには印刷物作成に関しての標準的な基準がないという根本的な要因があった。この問題の是正を目的に創設されたのが「JapanColor認証制度」((社)日本印刷産業機械工業会)だ。これは、ISO国際標準に準拠し、日本のオフセット枚葉印刷における印刷色の標準である「枚葉印刷用ジャパンカラー」に基づいて認証を行うもので、現在4つの認証で構成されている。今回の特集では、JapanColor認証取得サポートで多くの実績を誇る富士フイルムグローバルグラフィックシステムズへのインタビューと認証取得企業5社の運用事例を通じて、その現状や課題、有用性に迫る。

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色再現の標準化で品質安定と効率化へ

「JapanColor認証制度」4認証で基準値定める

印刷ジャーナル 2014年3月15日号掲載

 (社)日本印刷産業機械工業会は2009年10月、オフセット印刷における標準印刷色である枚葉印刷用ジャパンカラーを基準値としたJapan Color認証制度「標準印刷認証」を策定し、印刷物の標準化の確立に向けた取り組みを開始。さらに2011年9月に「マッチング認証」、「プルーフ運用認証」、「プルーフ機器認証」の3つの認証制度をスタートさせ、印刷技術の標準化を通じた品質安定と生産性向上を目指すツールとして普及推進している。
 これまでの印刷業界では、仕上がった印刷物の良し悪しは顧客の視覚的判断によって決められており、明確な基準がない中で印刷物が作成されていた。さらに印刷物の発注者、デザイナー、カメラマンなどからの色再現の要求に対し、印刷会社は度重なる修正や刷り直しで対応しているのが実情で、その背景には印刷物作成に関しての標準的な基準がないことが大きな要因となっていた。そこで発注者が標準的な基準値で指定した色を印刷会社で適切に再現できることを一般化し、不要な修正や刷り直しを削減することを目的に創設されたのが「Japan Color認証制度」である。
 2014年3月10日現在で、「標準印刷認証」の取得は144工場、「マッチング認証」の取得は37工場、「プルーフ運用認証」の取得は63工場、「プルーフ機器認証」の取得は73件となっている。
 最近では取引先との「共通言語」として活用やインナーブランディングの一環、さらには、ほとんど色見本のない印刷通販ビジネスを展開する企業など、様々な目的でこの認証制度を活用しようという動きがある。

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 Japan Colorは、日本におけるオフセット枚葉印刷の印刷色の標準として、ISO/TC130国内委員会が中心になり、(社)日本印刷学会の協力の下に策定されている。印刷物を工業製品として捉えた場合、現状の印刷業界においては、Japan Colorを活用した標準化へのニーズは高くなっている。
 歴史的には、1995年に日本の代表的な印刷機器、資材を用いて印刷した場合、どのような色が再現されているかを試験・測定し、とりまとめたものがJapan Colorの始まり。その後、ISOで定められた規格に沿って「Japan Color色再現印刷97」が策定され、さらに、ISO12647-2の規格の下に、日本国内で通常使われているインキ、印刷用紙4種類(アート、コート、マットコート、上質紙)について標準色を定めた「Japan Color色再現印刷2001」が策定された。
 続いて、「新聞用ジャパンカラー:JCN2002」「商業オフ輪用ジャパンカラー:JCW2003」が策定され、その後、技術の変遷によりフィルム/PS版からCTPによる印刷が主流になるに伴い、「Japan Color色再現印刷2001」の改訂版として、「枚葉印刷用ジャパンカラー2007」が、(社)日本印刷学会により策定された。
 2009年に標準印刷認証を開始することにより、シアンの測色値を「枚葉印刷用ジャパンカラー2007」の規格値(ベタ部L*a*b*値)の許容幅(色差⊿E5以内)の中に余裕をもって入れられないことが明らかになった。
 そこで、2010年7月に、ISO/TC130国内委員会の傘下に「ジャパンカラー検討委員会」を発足させ、関係団体((社)日本印刷学会、(社)日本印刷産業連合会、(社)日本製紙連合会、(社)インキ工業会、(社)日本印刷産業機械工業会)の協力のもとに、「枚葉印刷用ジャパンカラー2007」を改定し、2011年12月に「ISO準拠ジャパンカラー枚葉印刷用2011」の策定を行った。

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【標準印刷認証】
 印刷機械のメンテナンスと数値管理等によって安定した品質の印刷物を作成できる工程管理能力について認証するもの。
 具体的には、OKシート(印刷物)におけるCMYK4色ベタ部のL*a*b値およびCMYK4色の50%網点部のドットゲイン値と、それに続く5,000枚の連続印刷におけるL*a*b値、ドットゲイン値を測定することで、一定の色差内で安定的に印刷物を作成できる能力があるかどうかを審査する。なお標準印刷認証を取得した事業者は、従業員の名刺、ホームページおよび印刷物等にJapan Color認証マークを付けることができる。

【マッチング認証】
 標準印刷認証を取得していることを前提に、高度なカラーマネジメント技術を駆使して、印刷物の色を、基準値の許容幅に入れることができる能力等について認証するもの。マッチング認証取得後は、標準印刷認証の更新審査は必要なくなり、マッチング認証での更新審査に統合される。標準印刷認証の更新期限に関係なく、マッチング認証を取得した時点から起算して2年ごとに更新審査を実施する。

【プルーフ運用認証】
 個々のプルーフ機器を実際の現場で正しくメンテナンスし、適正に運用することにより、印刷用途に使用できる信頼性の高いプルーフ(出力物見本)を安定的に出力することができる運用能力等を認証するもの。原則としてプルーフ機器認証を取得した機器を使用して運用認証を申請することとなる。取得対象は、デザイン会社および印刷会社等。

【プルーフ機器認証】
 プルーフ機器が印刷用途に使用できる信頼性の高いプルーフを安定的に出力できる能力があるかどうかを認証するもの。審査にあたっては、プルーフ機器、RIP(出力のためのソフトウエア)、用紙の3つの組み合わせで判定される。取得対象は、プルーフ機器メーカーおよびベンダー等。