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 国際総合印刷テクノロジー&ソリューション展「IGAS2018」が7月31日、「スマートファクトリー」の潮流を明確に映し出すとともに、その先にある印刷ビジネス成功に向けた多くのメッセージを残して閉幕した。「Venture into the Next−変わる印刷、変える未来−」を統一テーマに、東京ビッグサイト東1ホールから6ホールにおいて、319社が印刷に関連する最新技術やサービスで競演したIGASには、およそ56,000人が来場し、「印刷の未来」を体感する場として盛況を呈した。そこで今回、このIGAS2018で発表された技術や製品、あるいは企業戦略などを改めて紹介する「after IGAS」シリーズを企画した。

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afterIGAS|
ニヨド印刷、オリジナルノートを100冊から受注

「まるまるノート」PR

 ニヨド印刷(株)(本社/高知県吾川郡いの町474-2、御庄康隆社長)は、IGAS2018においてオーダーメイドのオリジナルノート作成専門サイト「まるまるノート」で作成可能な商品の数々を展示し、印刷業界に向けてサイトの周知と自社技術をアピールした。その後、同社は9月のプレミアム・インセンティブショーにも出展し、自社オリジナルのノベルティを作りたい企業の担当者などにアピール。印刷業界内外へのアピールを終え、今後は普通ではないノートを基本100冊から受注できるという独自性を前面に出し、さらなる受注拡大を目指す。

プレミアム・インセンティブショーのブースにて御庄社長(中央)と同社スタッフ
 同社は昭和27年に高知県に設立した印刷会社。元々は地域密着型の印刷会社として、地元のスーパーや企業の折り込みチラシ、パンフレット、包装紙などを中心に取り扱っていたが、土佐和紙の町・いの町に立地するため紙関連企業とのつながりも深く、販促用ポケットティッシュが開発されてからは、宣伝用の紙ラベルや外装フィルムのほか、うちわやカレンダーなどの販促品も取り扱ってきた。
 そんな同社は今年1月に「まるまるノート」を開設。その経緯について御庄社長は「当社では多種多様な紙製品を最終製品まで製造している。このノウハウを活用すれば、他社には真似のできないオリジナリティあるノートの専門サイトを作れると考えた。現状の営業だけでは限界があるが、インターネットを活用することにより顧客を全国に広げることができる」と話しており、独自のノウハウを広く全国に拡大することが目的にあったようである。
 「まるまるノート」では、BtoBとBtoCの両方をターゲットにしており、一般企業から広告代理店、販促関連会社、同業の印刷会社からの受注を想定していたが、意外に問い合わせが多いのが、クリエイターやデザイナーなど個人ユーザーであるという。
 このため、注文は1,000冊以下が多いようだが、「基本100冊からの極小ロット受注にも対応している」と御庄社長は話す。IGAS展やプレミアム・インセンティブショーでも、来場者からの最も多かった質問は「何冊からできますか?」というものだったようで、100冊からの極小ロット対応は来場者の反応も良く、大きな手応えを感じたという。
「まるまるノート」で作成可能なオリジナルノートの数々を展示

箔押しやクロス巻き、ミシン綴じなどの加工を施したオリジナルノートの作成が可能

 「まるまるノート」では、ダブルリングノートやセンター糸綴じクロス巻きノート、中綴じノート、ハードカバー糸綴じノートなど、様々な加工を施した商品ラインアップが取り揃えられている。また、特筆すべきは同サイトでは「ノート」の既成概念にとらわれず、イレギュラーな仕様に対応したオリジナルノートを作成できることだ。例えば先頃のプレミアム・インセンティブショーでは高知県出身の印刷会社らしく、「坂本龍馬」の形をしたオリジナルノートを出品し、来場者の注目を集めていた。
 御庄社長は「競合サイトと内容が似ないように心掛けている。表紙が様々な加工方法に対応しているだけでなく、中身についても『紙を遊びませんか?』と提案している。普通の上質紙だけでなく、黒色の上質紙や手帳用の薄い用紙、クラフト紙、画用紙などをシーンに合わせて提案している」と話す。
 さらに、「まるまるノート」では、同業他社の技術についても、借り先をオープンにした上で取り入れているという。島津印刷(株)(新潟県新発田市)のデジタル箔押し技術「プレミアムハイタッチ」や本山印刷(株)(高知市)の箔押しや活版印刷などである。
 「つまらないノートは作りたくない。協力先が得意とする技術、いわば『借り物』としても、そこからユーザーの声が聞けるので、それを商品に反映させながらサイトを充実させていきたい」(御庄社長)
 また、「まるまるノート」では、初めてオリジナルノート製作を考えている顧客にも安心の「まるまるノートハンドブック」とオリジナルノートの無料サンプルをセットにして配布している。現在は中綴じと糸綴じクロス巻き、ダブルリングのサンプルが用意されている。表紙/中身の質感や仕上がりのイメージが事前によく分かるとユーザーからも好評を得ているようだ。

お客様の「こんなノートがほしい」をカタチに

 「まるまるノート」により、現在は日本全国から、とくに印刷関連企業からの受注が増えているという同社。「ノート以外の問い合わせや注文も多く、まるまるノートの開設がニヨド印刷のアピールにもなり、相乗効果となっている」と御庄社長は説明する。
 今後はノートだけではなく、メモや一筆箋などのバリエーションも増やしていく方針。また、企業手帳や商品カタログのノート版など内容に重点を置いたオリジナルノートの提案も構想にあるようだ。
 御庄社長は「展示会でお客様の声を聞き、隠れたニーズを引き出して形にしていきたい」と今後の展開について話す。これまでにない「○○ノート」を次々と生み出していく同社の取り組みに注目したい。