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インクジェット特集 2016

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ルキオ
インクジェットプリンタの無人印刷ソリューション発表

オフセットと遜色ない品質実現

印刷ジャーナル 2016年9月15日号掲載

 産業用インクジェットプリンタの総合商社である(株)ルキオ(本社/東京都世田谷区、古谷庄悟社長)は、全世界で600台以上、国内でも20台以上の導入実績があるスイスswiss Qprint社製ハイエンドUVインクジェットプリンタを、オフセット印刷機と遜色ない品質を実現する「大判デジタル印刷機」と位置付け、商印業界に向けて積極的に販売を展開している。同社は9月1日から3日まで東京ビッグサイトで開催された「SIGN&DISPLAY SHOW2016」にも出展し、UVインクジェットプリンタの無人印刷および新商品のメディアなどを紹介。最新鋭の印刷システムに来場者の注目が集まった。

大判デジタル印刷機として商印業界へ販売

 1994年に創業した同社はこれまで、サイン・ディスプレイ業界を対象に大判インクジェットプリンタを販売してきたが、「1,200×2,400ミリサイズの板ものや、少部数大サイズポスターに対応した幅2.5mのスタンダード機『Impala2』は、サイズ的にも商印の印刷会社が十分に導入できるサイズ。品質面でもオフセット印刷と遜色ない印刷が可能であるため、大判のデジタル印刷機と認識してもらいたい」(システム営業部・田頭課長)と、今後は商印業界に向けて同機を積極的に販売していく方針を示している。
 実際に「Impala2」を導入して運用している(株)セントラルプロフィックス(本社/東京都中央区)の田畠義之社長は、「ラフグロス系の印刷用紙にポスターなどを出力した際の『テカリ』の問題を解決し、オフセット印刷との近似性を高めるとともに、生産性も従来のUVインクジェットプリンタと比べ3〜4倍に向上した」と話しており、クオリティと生産性の双方で導入効果を実感しているという。
 また、同社のオペレーターは、「生産性が向上し、B倍を1枚3分程度で出力できるようになったほか、ロール紙対応でもあるため数時間であれば無人運転も可能」と、省力化にもつながっていることを評価している。
 ハイエンドUVインクジェットプリンタ「Impala2」は、印刷業界にも十分に通用する品質と生産性、メディアへのインク厚盛りなどにより高付加価値印刷が可能。スイスで開発・製造されている「swissQprint」ブランドのインクジェットプリンタは、多くのスイス製工業製品の例に漏れず、細部にまでこだわり抜いた設計がなされている。精密さと耐久性の高さ、そしてシンプルに統一されたデザイン、また適切な設定で運用することにより、小さなパネルから規格外の大型ボード、ロールメディアまで、様々な資材に対して正確かつ高精細にオンデマンド印刷することができる。

 同社は「SIGN&DISPLAY SHOW 2016」において、swissQprint社がdrupa2016で発表したインクジェットプリンタの無人印刷ソリューションを国内初披露した。
 これは、新開発のロボットアーム「rob(ロブ)」がメディアのセッティングから印刷後の積み下ろしまでを自動で行うため、オペレーターの拘束時間や作業負荷を軽減できる。ロブは1日24時間、週7日休むことなくプリンタと共に無人で稼働するため、とくに負担の大きい夜間作業などにその特徴を発揮する。
 ロブが作業することにより、オペレーターは別の仕事を行えるため、生産性向上にも貢献する。10分程度のわずかな時間で簡単にプリンタにドッキングでき、ロブが必要のないジョブでは片隅に収納でき、スペースをとることもない。
 展示会場では、インクジェットプリンタ「impala2」にロブをドッキングさせての実演が行われ、来場者の注目を集めていた。

無人印刷を実現する最新鋭のシステムに注目が集まった(SIGN&DISPLAY SHOW 2016にて、Impala2+Robシステム)

 「Impala2」の主な特徴は次のとおり。

【高精細印刷】
▽14ピコリットルの液滴サイズに加え、9ピコリットルの液滴モードを搭載。
▽9ピコリットルの液滴サイズでは、滑らかな階調再現や細かい高精細なディテールの再現を実現する。
▽高品質な仕上がりを求められる出力にて、RIP処理時において最も高い解像度を選択した際、自動的に9ピコリットル液滴サイズでの描画モードが選択される。その際の視覚的な解像度は2,160dpiに達する。
▽細かい文字再現が必要となる仕事や、オフセット印刷時のパッケージ試作などにも対応できる。
【豊富なインクラインアップ】
▽標準インクは、用途/目的に合わせて13種類のインクから9種類の選択が可能。仕事内容に応じて、最適なインクの組み合わせを最大9色まで選ぶことができる。
▽ライトインクを選択することにより、写真の様に滑らかなグラデーションで印刷することができる。特にライトブラックは、モノクロデータにおける中間からハイライト側の粒状感を解消することができる。
▽グリーン、オレンジ、バイオレットの特色インクは、通常の4色系では再現できない広い色域の印刷を可能にする。
▽透明素材などに印刷するためのホワイトインク、光沢感を出すバーニッシュ(クリア)、プラスチックやステンレス、ガラスなどに対応したプライマーを用意している。
【特殊機能】
▽レイヤー印刷
異なるデータを多層印刷することで、遮光機能を加えた高い精度のワンパス印刷が可能。
▽タンデム印刷
 バキュームをフロント側とリア側で分けてON/OFF可能。リア側で印刷している最中に、フロント側へ次に印刷するメディアのセットができる。もちろんその逆も可能なため、広いテーブルエリアを無駄なく有効に使うことができ、印刷を止めずに効率の良い出力が行える。
【安全性と使いやすさの追求】
▽クラッシュセンサー
 事故防止のため、精密なクラッシュセンサーを備えている。例えば、メディアの厚みを誤って入力したり、メディアがゆがんでいた場合には、すぐにキャリッジが停止し、ヘッドの損傷を防ぐ。
▽静電除去装置
 エアガンにより、埃を払いつつ静電気を除去。
 ヘッドの左右にセットされた静電気除去装置は、印刷中にヘッドやメディアに埃が付着することを防ぐ。
▽インクボトル
 標準カラーインクボトルは5リットルと大容量。ホワイト・特色・プライマー・バーニッシュは1リットル。
 コントローラー側でインク残量および使用量のチェックができる。
▽バキュームエリア設定
 左右の幅は任意の位置で、奥行は2分割が可能。さらに逆噴射で基材を容易に浮かせることができる。
▽メディアセットピン
 複数作成時のリジッドメディアの垂直・水平のセットが容易に行える。厚物薄物2種類のピンを用意。
【ロールtoロール機能(オプション)】
▽3通りの印刷モード
 (1)描画エリアの幅間をヘッドが移動し、ヘッドは進まずにメディアを巻き取りながら描画する。(ロールtoロールモード)
 (2)フラットベッドにセットした面への全面描画が済んだと同時にメディアが巻き取られ、改めてフラットベッドにメディアがセットされ、連続で印刷する。(ピクチャーワイズモード)
 (3)フラットベッドにセットした面への描画が済んだと同時にバキューム装置がメディアを吸着し、ヘッドとメディアの位置関係を崩すことなく巻き取り、長尺印刷に対応する。

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