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トップ > 特集 > 検査関連機器特集 2014:広瀬鉄工、国内納入実績130台のオフライン枚葉印刷検査装置「inspect」

 「印刷物」を「工業製品」と捉える以上、その製造メーカーには「品質保証」というひとつの責任が生じる。そこには生産工程における機資材の見直しや工程間での工夫など、様々な手段が考えられるわけだが、最終手段はやはり生産物を「検査」「検品」するということになる。印刷業界においても多くの検査関連機器が市場投入されており、「不良品をどう処理するか」、また「不良の原因を如何に生産工程へとフィードバックするか」といったシステマチックな検査工程から生まれる高品質で安定した製品供給は、クライアントの信用を獲得する手段だけにとどまらず、多品種・小ロット・短納期化が進む中では品質管理の検証による作業の効率化、損紙低減によるコストダウンなど、経営的観点からも重要性を増している。そこで今回は「検査関連機器・システム」を取り上げてみる。

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広瀬鉄工
国内納入実績130台のオフライン枚葉印刷検査装置「inspect」

「枚葉印刷物検査に3つの安心」をキャッチフレーズに

印刷ジャーナル 2014年3月15日号掲載

 「枚葉印刷物検査に3つの安心」をキャッチフレーズに、広瀬鉄工(株)(本社/大阪市東成区東中本、廣瀬安宏社長)では、SKSシリーズを大きく改良したオフライン式枚葉印刷検査装置「inspect」シリーズを上市して実績を拡大している。
オフライン枚葉印刷検査装置「inspect」シリーズ
​ 近年の印刷業の経営環境は大きく変化し、とくに厳しい競争社会の中で高品質の提供はもとより、短納期、低コスト化が求められ、多様化した顧客ニーズに応えていく企業の姿勢が強く要求されている。いわゆる高品質化と安定供給を、低価格化、短納期化された環境の中で顧客満足度を高めていくことが求められているわけで、「オフセットインライン検査ではクワエ尻検査がどうも上手くいかない」、「従来のコンベア検査機では薄くなるとバタついて不安定」、「シリンダータイプは機械コストが高いのではないか」という、そんな悩みや問題を強く意識して登場したのがオフライン枚葉印刷検査装置「inspect」シリーズである。「品質保証」「大量処理」「検品のコストダウン」という「3つの安心提供」をコンセプトとして開発されたものだ。
 オフセット印刷機と同等のスピードで高精度な印刷紙面検査を行う同社の主力製品のひとつで、品質保証の面で活躍しているロングセラー機である。
 精度を高め、処理能力を毎時1万2,000枚に高速化した背景には、印刷業界の品質向上と短納期対応への貢献度を高めることがある。
 同社が長年にわたってオフセット印刷機生産を行ってきた結果で培ったノウハウと実績を基にし、さらに研究成果を上乗せして印刷機と同等のスピードを実現させているもので、このためオフセット印刷機と同じ紙の搬送機構を採用し、0.04〜0.7ミリの紙厚でも検査胴に着実に巻きつけられるために用紙のバタツキや反り返りによる反射光が原因となる検査誤認が生じないという特長を持つ。
 とくに近年、印刷の高付加価値化ということで、ニス加工や蒸着、箔押し加工など、印刷紙の表面加工が増えている中で、機械構造上の技術が生き、オフライン印刷検査をより拡げるとともに、高精度化、高速化して注目されており、「オフライン検査で当社の検査機は市場の約90%を占めている」と廣瀬社長は今後さらに市場投入へ力を注いでいくという。
 搭載した検査装置は、独自の画像処理技術による高精度検査に定評となっているダックエンジニアリング(本社/京都市)の検査装置「Trinity(トリニティ)」シリーズである。
 品質保証には、未検査エリアの少ない高精度の全面検査や重要部分のポイント検査設定など、検査精度と能力は既に市場において実証されている。

【主な特長】
▽給紙部‥オフセット印刷機用高速フィーダーを搭載。用紙をセットし、スイッチONで自動的に記憶される。
▽操作部‥検査モードスイッチを入れると自動的に検査がスタートする。
▽見当装置‥印刷機用の見当装置を採用し、確実な見当精度が得られる。
▽検査胴‥倍胴式検査胴に用紙が巻きつけられ、1本のライン上で検査される。クワエ尻は、強制的に保持されるため、薄紙から厚紙までバタツキがなく、従来検査が難しかった反射物のトビやカケ不良を解消して的確な検査を実現。
▽高性能デリバリー‥オフセット印刷機用の高性能デリバリーを採用。
紙揃えをなお一層容易にし、良品・不良品とも同じスペックをもつ2段パイルとなっている。
 このバリエーションとして、両面同時検査機、菊四裁からA倍判検査機、3段デリバリー式検査機などが用意されている。

【主な仕様】
▽検査速度=3,000〜12,000枚/時
▽最大紙寸法=360×540ミリ
▽紙厚寸法=0.04〜0.7ミリ
▽フィーダー積高=1,200ミリ/デリバリー積高=1,200ミリ
▽機械重量=10,000キログラム

【検査部の特徴および機能】(ダックエンジニアリング社製)
(1)重要ポイントに該当する部分についてはレベル設定を厳しく、側面部分については普通に、糊しろ部に関しては甘くするなど、部分的なレベル設定とXYサイズの変更が可能で、検査範囲外をマスクすることも可能。
(2)画面はXYθ補正により、画面のズレや位置ズレに影響されない。
(3)1画素単位での全画素濃淡比較方式はDACの特許。検査部には未検査エリアが生じない。
(4)筋状欠陥・微小欠陥・薄汚れ欠陥・文字欠陥・色欠陥など、様々な欠陥を検出するため、目的に合った特殊欠陥検出回路を選択できる。
(5)ウィザード機能や検査範囲・枠設定の自動化により、手間がかからず安心と検査装置の運用を確実にする。
(6)リアル画像で全体を見ながらグラフィック機能により検査範囲をモニターで確認して設定。微細な部分はデジタルズームにより正確に確認・チェックする。
(7)欠陥のXY寸法を計測表示。プリントアウトも可能。(欠陥部を枠で囲み、欠陥サイズを表示)
(8)両面検査、3段デリバリー方式など、要望に応じての選択可能。両面検査においても1コントローラにて対応可能。
(9)オフライン納入実績130台以上の業界スタンダード検査装置となる。