PJweb news

印刷産業のトレンドを捉える印刷業界専門紙【印刷ジャーナル】のニュース配信サイト:PJ web news|印刷時報株式会社

トップ > 特集 > デジタル印刷 2013:日印産連、「デジタル印刷に関するアンケート」調査実施

 ルーペを覗き込んで「デジタル印刷の網点は…」という会話。かつてよく見られたこんな場面には皆無と言っていいほど遭遇しなくなった。そしてデジタル印刷分野は日本でも「ソリューション」の時代へと突入している。そこで今回、日印産連が実施した「デジタル印刷に関するアンケート調査結果」や日本で始動するデジタル印刷推進団体「PODi」の概要をはじめ、ソリューションを明確に打ち出すことでデジタル印刷ビジネスにおいて利益を創出している印刷会社の事例と、それらを支えるメーカーのソリューション、さらに同市場で重要度を増す後加工分野で影響力を高めるフンケラー社が主催したデジタル印刷ショー「innovation days2013」のレポートを紹介する。

特集一覧へ

全体の7割がカラー機保有 〜 印刷分野ごとの導入比率に格差

日印産連、「印刷業界におけるデジタル印刷に関するアンケート」調査実施

印刷ジャーナル 2013年3月25日号掲載

 (社)日本印刷産業連合会(足立直樹会長)は、国内の印刷産業におけるデジタル印刷の状況を把握し、さらに活用度を高めていくための対応策を調査研究することを目的に2010年、2011年に続いて、2012年9月に「印刷業界におけるデジタル印刷に関するアンケート」を実施。このほど、その調査結果がまとまったので公開する。


 アンケートには、印刷工業会、全日本印刷工業組合連合会、日本フォーム印刷工業連合会、日本グラフィックサービス工業会、日本グラフィックコミュニケーションズ工業組合連合会、全日本シール印刷協同組合連合会、全国グラビア協同組合連合会、全日本スクリーン・デジタル印刷協同組合連合会の各団体から189社が回答。
 デジタル印刷機(生産機)のサイズ別保有状況は、50%以上がA3クラスであり、B2以上は4%と少数であった。デジタル印刷機の方式は、トナー式が6割以上でインクジェット方式は約4割。カラー/モノクロの区別で見るとカラーが7割以上を占めている。
 商業印刷市場規模(回答89社)では、約938億円で、うちデジタル印刷は約23億円(インクジェットデジタル約7億円、トナーデジタル約16億円)となった。また印刷付帯サービスは約88億円。構成比で見るとデジタル印刷2%、印刷付帯サービス9%、有版印刷は88%となる。
 ハイブリツド印刷市場規模(回答89社)は約31億円で、うちデジタル印刷は約3億円(インクジェットデジタル約1億円、トナーデジタル約2億円)、印刷付帯サービスは約12億円となった。構成比では、デジタル印刷11%、印刷付帯サービス39%、有版印刷は51%となる。

デジタル化が進む大判印刷
 
 大判印刷市場規模(回答89社)は約10億円で、うちデジタル印刷は約10.3億円(インクジェットデジタル約9.9億円、トナーデジタル約0.4億円)、印刷付帯サービスは約0.2億円。構成比は、デジタル印刷96%、印刷付帯サービス2%、有版印刷は2%となる。
 出版印刷市場規模(回答89社)は、約110億円で、うちデジタル印刷は約8.9億円(トナーデジタルのみ)、印刷付帯サービスは約1.4億円。構成比は、デジタル印刷1%、印刷付帯サービス1%、有版印刷は98%であった。
 商業ブックオンデマンド印刷市場規模(回答89社)は、約0.36億円。デジタル印刷は約0.22億円(トナーデジタルのみ)、印刷付帯サービスは約0.12億円。構成比はデジタル印刷60%、印刷付帯サービス34%、有版印刷は6%であった。
 フォトアルバム印刷市場規模(回答89社)は、約0.04億円。デジタル印刷は約0.02億円(トナーデジタルのみ)、印刷付帯サービスは約0.02億円。構成比は、デジタル印刷43%、印刷付帯サービス57%となる。
 事務用印刷市場規模(回答89社)は約57億円。うちデジタル印刷は約7億円(インクジェットデジタル約0.1億円、トナーデジタル約6.6億円)、印刷付帯サービスは約1.2億円。構成比は、デジタル印刷12%、印刷付帯サービス2%、有版印刷は86%となる。
 
デジタル印刷市場の核となるデータプリント
 
 データプリント(1〜3色)市場規模(回答89社)は、約251億円で、うちデジタル印刷は約218億円(インクジェットデジタル200億円、トナーデジタル約18億円)、印刷付帯サービスは約8億円。構成比はデジタル印刷95%、印刷付帯サービスはほとんど無く、有版印刷は5%となる。
 またデータプリント(フルカラー)市場規模(回答89社)は、約16億円で、うちデジタル印刷は約6億円(インクジェットデジタル5億円、トナーデジタル約1億円)、印刷付帯サービスは約4億円。構成比は、デジタル印刷41%、印刷付帯サービスは26%、有版印刷は33%であった。
 シール・ラベル市場規模(回答89社)は、約274億円で、うちデジタル印刷は約0.6億円(インクジェットデジタル約0・6億円、トナーデジタル約0.1億円)、印刷付帯サービスは約1.7億円。構成比は、有版印刷が99%という結果であった。
 特殊印刷市場規模(回答89社)は、約25億円で、うちデジタル印刷は約0.16億円(インクジェットデジタルのみ)、印刷付帯サービスは約2億円。構成比は、デジタル印刷1%、印刷付帯サービス8%、有版印刷は91%。

重視するのはワンストップソリューション

 デジタル印刷ビジネスで重視するビジネスモデルについては、291件(複数回答)の回答があり、ワンストップソリューションが26%、Web 2 Print(B2B)が23%、バリアブルプリント16%と続いている。Web 2 PrintはB2BとB2Cを併せると35%となる。またワンストップソリューションは、後加工や在庫レスを包括している可能性があることから併せると40%以上となり、やはり主要なビジネスモデルであることが伺える。
 デジタル印刷機の導入促進のために必要なこと
で最も回答が多いのが、極小ロット対応(16%)。次いで提案営業の育成(11%)、IT教育(9%)・ITパートナー確保(4%)という回答から、人材面の課題が大きいことが分る。また極小ロット対応のための課題(出力データ作成自動化8%、多能工化8%、高効率化2%)も意識されている。
 デジタル印刷機の今後(生産機)の導入計画については、カラー機が83%であり、モノクロ機は17%。前回調査では2対1程度であったため、急速なカラー機へのシフトが始まったと考えられる。
 デジタル印刷が有版印例の売上を超える時期については、74%が不明・未回答であったが、10年以内という回答も22%あり、分野によって相当な意識差があることが推察される結果となった。