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トップ > 特集 > 働き方改革特集2019:ウエーブ、業界初の自動化システム提供〜人手不足解消に貢献

 日本の将来的な生産年齢人口は1990年以降減少を続け、2060年には生産年齢人口割合が50%になると推定されています。そんな中、育児や介護との両立など働き手のニーズの多様化、長時間労働の是正に向けた生産性の向上など、働きがいのある、人々を惹きつける印刷産業の確立は急務である。そこで今回、昨年に引き続き、この「働き方改革」の肝となる生産性向上に向けたソリューションを特集する。

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ウエーブ、業界初の自動化システム提供〜人手不足解消に貢献

単純作業、重作業、危険作業を自動化

印刷ジャーナル 2019年5月15日号掲載

白子 社長
​ 印刷通販サービスを展開する(株)ウエーブ(白子善久社長)のロボット・メカトロ開発事業部は、昨今の「人手不足解消」を目的とした業界初の自動化システム「WAVE 15P-Series」を開発・製造・販売しており、生産工程の中でもオペレーターがとくに苦痛・ストレスに感じるような単純作業や重作業、危険をともなう作業の自動化を図るソリューションをラインアップしている。今年4月には、パレタイザーとスイングPOPテープ貼り自動化システムを新製品として追加し、自社工場での運用を開始した。同社ではこれらの既製品だけでなく「特注仕様」の自動化システムも受注生産しており、印刷業界の働き方改革をサポートしている。

自社でも運用。4〜5人分の人手不足解消に

 ウエーブは、「高品質と低価格」を両立する印刷通販サービスとして事業展開する一方、生産ラインの効率化や人手不足などの課題解決に対してもいち早く取り組んでおり、1年4ヵ月前にロボットの活用に着目したシステム開発を行うロボット・メカトロ開発事業部を開設。現在は10名のスタッフが自動化システム「WAVE 15P-Series」の開発・製造・販売にあたっている。
 現在の主なラインアップとしては、ECO、金属リング綴じカレンダー反転機(特許出願中)/手動箔押し機自動化(特許出願中)/手動レーザー加工機自動化/大判パネル印刷・カット自動化/プラスチックケース自動挿入機/ライン間接続機・フィーダー/枚葉丁合機(特許出願中)/ECO、金属リング綴じカレンダーワンストップ製造システム(特許出願中)/パレタイザー(新製品)/スイングPOPテープ貼り自動化(新製品)など。これらのシステムは、大部分が印刷会社である自社のラインにも組み込まれており、自社においてそのメリットを確認した上で製品化したものだ。白子社長は「現在稼働している7台の自動化システムにより、4〜5人分の人手不足解消につながっている」と話す。

新製品にパレタイザーとスイングPOPテープ貼り自動化システム

 4月から自社でも運用している新製品の「パレタイザー」は、出荷前の段ボールをパレットに自動で積み上げていくシステム。タッチパネルで操作するだけで、伝票情報に応じてパレットを自動判別・配置するため、これまでのように伝票との照合や、出荷待ちの行列ができるなどの課題を解決する。白子社長は「腰痛や怪我などの心配もなく、ミスなく出荷作業が可能になる。当社では他社のシステムと組み合わせることにより、段ボールの組み立て、封入後の段ボールをガムテープで封緘するところから自動化している」と話す。

パレタイザー
 同様に4月から自社運用している「テープ貼り自動化システム」は、スイングPOPの両面テープ貼り作業を自動化したシステム。白子社長は「1時間に600枚の自動テープ貼りが可能。人手による作業でも短時間であれば同等のスピードが可能だが、何時間も継続して作業するには精神的にもつらい作業のため、従業員からは非常に喜ばれている」と話す。

スリングPOPの両面テープ自動貼り機
 また、仙台事業所で運用している「プラスチックケース自動挿入機」は、卓上カレンダーをプラスチックケースに自動で挿入していくシステム。作業スピードは人手の3倍で、長時間の稼働ができる。省人化を図りながらも生産性を向上できる点が、大きな効果となっているようだ。
 また、「大判パネル印刷・カット自動化システム」は、大判パネルをワイドフォーマットのインクジェットプリンターにセッティングして印刷後、カッティングプロッターまで自動でロボットが搬送するシステム。白子社長は「大判パネルは重くはないが、大きいため1人では持ち運びができず、複数人での作業を要していた。これを自動化することにより、省人化を図ることができる」と説明する。

大判パネル印刷・カッティングの自動化システム
 白子社長は作業工程を自動化するメリットについて、「単純作業や流れ作業を人が長時間行うのは身体的にも辛く、作業スピードや品質にもバラツキがある。機械のセッティングなどの管理を人が行い、実際の作業は機械に任せることで、品質やスピードも安定して生産性が向上する。また、昨今はきつい仕事だと従業員が辞めてしまう心配もあるが、そのような問題も解決できる」と話しており、今後も人手不足解消に貢献する様々な自動化システムを開発していく方針だ。
 また、同社の自動化システムはリモートメンテナンスをセットで付けており、万が一のトラブルの際も、停止時間を少なくする取り組みを取り入れているため、導入後も安心して使用することができる。

               ◇             ◇

 自動化システムを検討する場合の注意点として、白子社長は「あれもこれもと欲張ってしまうと開発にも時間が掛かり、自動化も遅れてしまう。まずは自社で一番しんどい工程を自動化することから考えていただければ幸いである」とアドバイスしている。
 まずは自社の従業員にもっとも苦痛・ストレスを感じる作業をヒアリングし、そこを自動化するだけでも人手不足の問題は解決の方向に向かっていくに違いない。