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トップ > 特集 > 製本紙工業界のGP工場認定:もがみ紙工 「GP製品、さらにリサイクル」(第6回GP認定工場)

(社)日本印刷産業連合会(山口政廣会長)が実施している印刷環境総合認定制度「グリーンプリンティング(GP)認定制度で、製本業を中心とした後加工業者の認定が目立つようになってきた。GP認定制度は、印刷製品の製造に関わる全工程をGP認定工場が行なっていることを原則としているが、「認定制度の普及」を考慮し、平成21年9月末までは印刷工程を行なう工場がGP認定を受けていれば、GPマークを表示することができるという猶予期間を設けている。これを睨んだ後加工業者のGP認定への取り組みは今後加速するものと思われる。

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もがみ紙工
「GP製品、さらにリサイクル」(第6回GP認定工場)

印刷ジャーナル 2008年2月15日号掲載

 切る、折る、綴じる、仕上げる...。製本加工のあらゆるプロセスにおいてスピードとクオリティを高く保つこと。それが第6回GP工場にも認定された、もがみ紙工(有)(東京都中央区八丁堀3―4―12、佐藤稔幸社長)のアプローチである。同社は小規模ながらも東京駅から数分という立地条件、加えて「もがみ折」などの独自のノウハウ、技術で印刷会社からの信頼を勝ち取っている。
 同社は昭和40年に創業。10年程前までは主に伝票の製本加工を主体にしていたが、オフィスのOA化に伴い、折加工、中綴じ、手間のかかる再加工折りなどサービスのバリエーションを充実させるとともに、設備やノウハウ・技術力を高めてきた。以降も継続的に機械設備や技術導入を図り、現在ではカタログ等の中綴じ、パンフレットDM等の折加工、会議資料等の平綴じ/コーナー綴じ、スクラムの再加工折、チラシや機械印字用の事務用品の化粧断ち、チケットのミシン入れ、コンピュータードリル穿孔機によるパンチ穴(2穴/4穴)、システム手帳の6穴・ドンコ穴、インチ穴等、機械のモニター上で数値を入力出来る範囲内であれば全て穿孔加工である。この加工バリエーションをみても、多種多様な印刷会社のニーズに対応できるサービスラインナップを提供している。
 またDMの様々なニーズに対応できるよう、独自技術の「もがみ折」を開発。DMなどでA4のペラものを数枚封筒に入れ発送する場合、一般的にはそれぞれ3折したものを重ねて封入するが、「もがみ折」は数枚のペラものを丁合を取りながらまとめて3折加工するため工程を短縮でき、スピード、コストを大幅に低減するものとして、印刷会社や配送業者などからも大変好評を得ている。
 また、仕上げ後にさらに折り加工を加える「再加工折り」も同社が得意とする技術の1つである。完成したスクラム冊子やカタログをさらに折ったり、丁合した資料を折ることが可能。例えばDMを送るために商品カタログなどの小冊子を3折にする場合、製本工程の一連の流れで「折り」の処理まで行なえるため、作業効率アップとコストダウンを図ることができる。およそ12頁位まで対応が可能だという。
 同社がある東京駅近隣には珍しい、ラウンドフィーダーの折機の設備も所有しており、中小ロットの折加工に力をいれている。このラウンドフィーダーの折機を使って、会社創業当時から加工しるノーカーボンの知識を生かし、今後はフォームの折加工・ノーカーボンのセット物の折部門も視野に入れていく姿勢である。同社にラウンドフィーダーを販売した機械メーカーの営業担当は東京駅から数分の同社に機械を搬入した際に、東京駅前のラウンド設備という意味で、「駅前ラウンド」と名付けたというエピソードもある。郊外では珍しくはないが、都心部ではかなり貴重な設備である。この加工バリエーションが印刷会社からの信頼を勝ち取る要因であるといえよう。
将来を視野に入れたGPへの取り組み
 伝票を主体とする製本会社から、製本加工のあらゆる要望に対応できる現在のバリエーションを築いてきた同社。これは顧客である印刷会社の要望に応えながら業態変革を続けてきた結果に他ならないと言える。「これまでは古紙の分別程度しか行なっていなかった」(佐藤社長)という同社が、GP認定工場をとるまでに至ったのも、ビジネス・パートナーとして将来的な印刷会社との関係までを視野に入れているところが大きい。これについて佐藤社長は、「環境配慮が当然の世の中であるが、今のところ環境ISOやGP認定が必ずしも必要という訳ではない。しかし環境関連製品の印刷物が増える中、製本会社も印刷会社と『同じ土俵』に立てる証が必要だと考えた。これにより環境の知識を得ることもできるので、技術・サービス面でも印刷会社にさらに役立つことができると考えている」と話している。さらにGP工場認定への取り組みは、会社を盛り上げ、元気にする意味でも大きなきっかけとなったという。
 同社がGP工場認定に向けて具体的に動き出したのは昨年の11月頃から。騒音対策やアイドリングのストップ、さらにフォークリフトについては安全面も考慮して作業手順と注意事項を貼り付ける、地球温暖化防止のためエアコン温度を一定に保つなど、様々な取り組みを開始したが、その中でも同社が何よりもこだわったのは「グリーン基準を満たす製品の積極的な利用」である。例えば同社では製本でホットメルトは使用しないが、製本糊はできる限り人体に悪影響を及ぼさない糊を使用することを心掛けている。またクラフトテープやラップにしても、できる限りリサイクルが可能な製品を使用することを心掛けているという。
 「GPの基準を満たせる製品を積極的に利用することが当社の前提である。あとはリサイクルの仕組みをどのように上手く自社に取り入れていくかが大切。このため当社では資材業者などにも、環境関連製品についてはどんどん売り込みに来るようにお願いしている。小さなことでもコツコツと継続することで、将来的には大きな環境対応に結び付くはずである」
 ビジネス街に立地していることは、クライアントに納品する上でも非常に良いと印刷会社からも喜ばれている。今後は内面、外観ともに、一等地に相応しい「クリーンな企業イメージ」にさらに磨きをかける努力を行なっていく方針。印刷会社を飛び越え、最終クライアントからも製本加工は「もがみ紙工」といって頂けるよう、今後もより一層努力と提案を重ねていくという。