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2005年2月、京都議定書が発効となった。地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの一種、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、HFCS、PFCS、六フッ化硫黄を、先進国において削減していこうというもので、削減率は1990年を基準として国別に定め、共に一定期間内に目標の達成を目指す国際的な約束事である。

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【トレンド】
環境関連法と業界の動き

印刷ジャーナル 2007年6月15日号掲載

 2005年2月、京都議定書が発効となった。
 地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの一種、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、HFCS、PFCS、六フッ化硫黄を、先進国において削減していこうというもので、削減率は1990年を基準として国別に定め、共に一定期間内に目標の達成を目指す国際的な約束事である。
 具体的には2008年から2012年の間に日本はマイナス6%、アメリカ7%、EUが8%の削減率を設定している。因みに日本でも温暖化の影響が出始め、高山植物の成長を妨げ、平地で育つ松の木が繁殖している実例が報じられてもいる。
 本格的に国際社会で地球環境問題が議論されたのは1972年にスウェーデンの環境会議にはじまったとされ、その後モントリオール議定書が採択された1987年のオゾン層破壊物質の全廃に向けた目標設定で国際協約の流れができ、地球規模の環境保全への国際対応が加速した。その後1992年のリオデジャネイロでの地球環境サミットを経て地球温暖化に対して国際的枠組みが京都議定書に至った。そして2年が経過した。
 地球レベルの環境問題としてはオゾン層の破壊、地球温暖化、砂漠化、海洋汚染、天然資源の枯渇化他、多くがある。18世紀の産業革命から世界人口は増えつづけ、伴い世界のエネルギー消費量も増え続けて環境問題となって国際対応が叫ばれるに至っている。
 国内では1968年の「公害対策基本法」が制定され、続いて1993年(平成5年)に「環境基本法(平成18年改正)」に。現在では2003年制定の「循環型社会形成基本法」という枠組みで人や産業の対応が求められている。大気汚染対策、水質汚濁対策、騒音/振動対策、悪臭対策、廃棄物対策、省エネ対策、資源対策、リサイクル対策、化学物質対策、労働安全衛生法対応、消防法対応など印刷産業の関連法は様々で、自然環境のバランスを保つことが求められている。
 これらの中でも2006年4月、「大気汚染防止法」が改正され、VOC(揮発性有機化合物)の排出抑制制度が改正された。このVOCは人体の健康面への影響が懸念されるもので、わが国の産業界においてVOCの発生源として印刷産業は13%を占め、43%の塗装業界に続くものとなっており、印刷産業の環境対策として問題化されている一つである。全体で2010年の削減目標は30%が設定されている。
 「環境問題はいまや政治問題ではなく、モラルの問題」と、京都議定書の議決に関わったアル・ゴア元アメリカ副大統領は述べており、つまり人や産業、企業の責任ということになってきたということである。
 こうした様々な関連法に沿って印刷産業界では、業界単位での自主規制の制定や個別企業においても環境負荷低減に向けての取組みや製品開発が積極的に行なわれており、今や産業界や企業の価値は環境対応にも大きく覆いかぶさってきて、利益確保に法令遵守が加わり、企業として総じた社会貢献が基準となっているともいえる。
 しかしながら法は多岐にわたり、一企業での把握や対応は困難な面もあることから、社団法人日本印刷産業連合会では、印刷産業における「環境関連法規集」を刊行して周知を図っており、また、同連合会をはじめ印刷関連各団体でも素材や生産加工面での対応に自主的な取組みを積極的に推進している現状である。
 今後の企業活動に不可欠な環境対応。そこで弊紙では「印刷産業と環境対策」と題して、団体の取組みや企業の取組み、環境対応製品などをシリーズで総括していく。