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グラフィックアーツ専用の濃度計、分光光度計、イメージング製品の専門メーカーであるTECHKON GmbH(本社/ドイツ)製品の国内総販売元である(有)テシコン(千葉県我孫子市)の三好民社長による寄稿「測定器による網点面積の測定」を紹介する。

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測定器による網点面積の測定

有限会社テシコン 三好 民 社長

印刷ジャーナル 2006年12月掲載

濃度計

 本来、印刷現場ではインキ膜圧を測定したいのですが、インキ膜圧は現場では簡単に測定できないため、インキ膜圧と濃度値を相関させることで濃度計が使われています。さらに濃度計は刷版プレートや印刷物の網点%部の測定にも流用され、濃度計は印刷の数値管理には必携の測定器となっています。
 
濃度計での網点%の測定

 その測定方法は初めにベタ部分(100%部)を測定し、続いて網部を測定することでその濃淡から計算した網%を表示します(マレィ・デービス[式1])。この方法ではコントラスト比を網%値として表示しているだけなので、濃度計で発生するドットゲイン(光学的ドットゲイン)の影響で網%値は大きく表示されてしまいます。ですから濃度計を使っていても最終的には印刷オペレータがルーペで網点を覗いてその良否を判断することになります。
 また、刷版プレートの場合は係数(Nファクター)を入力する事でルーペで見た50%が50%と表示するように工夫(ユール・ニールセン[式2])することも行なわれてきました。しかし、CtPの導入が進み網点%のコントロールが各%毎で自在にコントロールできるようになり、クライアントの要望に合わせた網点カーブ設定を自在に行なってこそのCtPをコントロールするには濃度計を使用した刷版管理では役不足になりつつあります。また、FMスクリーンや高精細印刷に取り組むにも濃度計で表示される網%値は濃度計のドットゲイン(光学的ドットゲイン)にも違いがあるため、従来通りの管理では印刷色が違って見えたりすると、また経験とカンの世界へ逆戻りしてしまうことになりかねません。
 
網点面積測定器での測定

 網点面積測定器では網点をマイクロスコープで拡大し、CCD等のデバイスでカラー画像を取り込みます。そして取り込んだ画像を画像処理し各メーカー独自の閾値で白い(砂目)部分と黒い(網点)部分に分けて、その黒い部分の面積率を表示します。このため濃度計のように不安定な砂目でのキャリブレーションやベタ部分の測定は不要となります。さらに弊社製測定器ではドイツ・FOGRAより市販されている基準の刷版プレート(Fogra Measuring Bar)にて網点面積測定器を較正して出荷していますので、必要であればユーザーがこの刷版プレートを購入して複数台の測定器を1枚の基準プレートで較正することも可能です。この較正方式を採用している理由はいくらデジタルで2値化(白と黒に分ける)を行なっているとはいえ、光学部分まで含めた較正には実際の刷版プレートを測定する必要があるからです。さらに弊社では測定時の光源には白色のLEDのみを使用しています。これは光源を切り替える方式では較正のデータを複数切換えることとなるため弊社では採用しておりません。
 これにより網点面積測定器ではオペレータがルーペで覗いたときに見える網%値に近い値を表示する(光学的ドットゲインを含まない)ことが可能となりました。
 さらに一部のユーザーでは印刷物の網点面積率もこの測定器で行ない、印刷物の物理的ドットゲインを客観的に(誰かがルーペを覗いてOK/NGを判定するのではなく)知ることで、印刷障害を防ぐ動きも始まっています。